前回、この中西健夫会長連載対談に、髙田旭人ジャパネットホールディングス代表取締役社長 兼 CEOが登場したのは、2019年の12月刊行号でした。その際、まだ見ぬ長崎スタジアムシティの構想を語っていただきましたが、約5年の年月を経て、構想通りに完成した同所でACPCの人材育成研修会が開催されることになりました。最高のシチュエーションでの再会、二度目の連載登場は、より深くエンタテインメント・ビジネスの可能性と地域創生の本質を語り合う場になりました。
→2019年の12月刊行号
会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。
中西健夫ACPC会長連載対談 Vol.38 髙田旭人(株式会社ジャパネットホールディングス代表取締役社長 兼 CEO)
感動を生み出しながら、収益も上げる
長崎スタジアムシティの成功は、そこからです
5つのこけら落としでの試み
中西:5〜6年前に長崎スタジアムシティの建設予定地を初めて訪れて、色々と構想をお伺いしましたが、改めて完成した姿を見て感慨深いですね。オープニング・パーティにご招待いただいて、福山雅治さんのこけら落としライブ(2024年10月13日)も拝見したのですが、長崎にエンタテインメント・タウンが誕生したことを実感しました。
髙田:もともとは2017年に、V・ファーレン長崎というプロサッカークラブが弊社のグループに加わったことから始まりました。翌年、長崎に広大な土地が空いたという噂を聞いて、当初はスタジアムをつくる予定はなかったのですが、坂が多い長崎の中心地でこれだけ広い平地はありませんので、スタジアムを建てるならこのチャンスしかないと思いました。いざ、建築しようとなった時、先々ここをどのようなエリアにするべきなのか、どなたにご相談したらいいだろうと考えて、ご紹介いただいたのが中西会長でした。すぐ長崎に来てくださって、一緒にお食事をさせていただき、それからの7年間、何度もアドバイスいただいて今に至っております。構想の段階から、いち早くこのプロジェクトに共鳴してくださったわけですから、本当に感謝しています。
中西:そんなに立ててもらって、恐縮します(笑)。今回のACPC人材育成研修会ではこの後、各所を視察させていただきますが、その前にコンサートをはじめエンタメで利用できる施設を簡単に紹介していただくと、スタジアム(PEACE STADIUM Connected by SoftBank)があって、アリーナ(HAPPINESS ARENA)があって、ライブレストラン(THE CLUB NAGASAKI)があるということですよね。
髙田:そうです。オープニングに際して、全部で5つ、こけら落としがありました。まず10月4日にアリーナで行われたバスケットボールの長崎ヴェルカの公式戦です。長崎ヴェルカは3年前につくったクラブで、日本代表でもある馬場雄大選手や川真田紘也選手が所属しています。B3、B2、B1と昇格していき、現在は44試合連続でチケットが完売。アリーナは6000席、3000席はシーズン・チケットで売れていて、残り3000席は1日で完売する人気クラブになっています。
続いて10月6日にスタジアムで行われた、V・ファーレン長崎のJ2公式戦。もともとはホームゲームでも8000人くらいしか入っていなかったのですが、こけら落とし試合を含む3試合は全部で2万人くらい入りました。12月1日にJ1昇格を争うプレーオフの初戦があるのですが、そのチケットも3日間で2万枚が完売しています。このスタジアムの特徴は、場内への入場端末、飲食などを購入いただくキャッシュレス端末はすべて、ジャパネットグループで構築したシステムだということです。実は販売されている名物のヴィ・ビールもグループ会社でつくられていて、スタジアム内でビールの醸造を行うブルワリーレストラン「THE STADIUM BREWS NAGASAKI」のオリジナルクラフトビールなんです。
先程も話に出た、スタジアムでの福山雅治さんのこけら落としは、フリーライブで開催されました。「長崎スタジアムシティ公式アプリ」を通じて53万人以上のお客様からご応募があり、当選した約2万5000人の方にスタジアムにご入場いただきました。アプリは立ち上げてまだ数ヶ月なのですが、これでホテルやイベントの予約が全部できるようになっています。アプリではライブビューイングもしましたが、同時視聴数が約27万まで伸びました。アリーナのこけら落とし、さだまさしさんのコンサート(10月19日)は、チケット5000円の売上を能登半島地震の復興のために寄付をするチャリティーコンサートとして開催しました。こちらは約43000人の方からご応募いただいて、当選した5000人の方に来場いただきました。ゲストとして岩崎宏美さん、スガ シカオさん、水谷千重子さん、ゴスペラーズの皆さんにも来ていただきました。最後はライブレストランのこけら落とし、ピアニストの清塚信也さんが週末の10月26、27日と、2公演×2日間の4公演を行ってくださいました。200人くらい入る会場で、多くの方からご応募いただき抽選でのご案内となりました。