ACPC人材育成研修会の基調セミナー(第1部)は、本誌の巻頭で連載されている中西会長対談の「公開収録版」として行われました。ご登場いただいたのはソロ・デビュー以来、通算4600本を超えるライブを行っているシンガー・ソングライター、さだまさしさん。初の試みに相応しいゲストになりました。「日本で最もライブを行ってきたアーティスト」である、さださんの言葉は、若いコンサートプロモーターにとってまさに「金言」。中西会長との軽妙なやり取りの中に、リアリティ溢れる体験談が連続する貴重な時間になりました。
会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。
中西健夫ACPC会長連載対談 Vol. 34 さだまさし(シンガー・ソングライター、小説家)
4600本超のライブから得られた
本当に大切なこと、人、こころ
「もう1人連れてきて」の思い
中西:さださんは今年(2023年)、デビュー50周年なんですよね。
さだ:本当にあっという間の50年でした。50年前だと、コンサートプロモーターという職業はまだなかったですね。プロモーターの皆さんが集まって研修会をやるなんて時代が来るなんて夢にも思わなかったです。
中西:さださんが50年間で行ったライブの本数、知っている人は知っていると思うんですけれど、なんと4600本を超えています。これはとんでもない記録ですよ。1年に100本やっても46年かかるわけですから。心から素晴らしいことだと思います。とにかく休みなくライブをやり続けてきたわけですよね。
さだ:休みはなかったですね。僕は1年も休まずにやってきました。もちろん不安もありましたよ。常にお客さんが何を求めているのか、それに応えられているのかを考えると。会場が満席になったとしても、次回も足を運んでくださるかどうか分かりませんから。その年に満席でも、1年後くらいだと半分は来なくて当たり前でしょう。3年に1回のアリーナツアーでしたら話は別ですが、僕の場合は毎年、毎年、県庁所在地を中心にずっと回っているわけですから。逆に言えば半分は来てくださる可能性がある。ということは次回も満席にしたければ、来てくださる半分の皆さんに、もう1人ずつ連れてきてもらえばいい。次回来てくれない人のことを考えるより、次回も来てくださる人に「もう1人連れてきてよ」と働きかけるライブをやり続けてきました。