撮影:小山昭人(FACE)
「アリーナから地方を活性化していく可能性は充分あると思うんですよ」(中西)
「ライブは付加価値のかたまり。地方創生にはぴったりです」(石破)
2018年12月、チケット不正転売禁止法(特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律)が成立するまでには、長い助走がありました。2012年、石破茂会長を中心にライブ・エンタテインメント議員連盟(以下、議連)が設立。ライブに携わる私達ACPCと立法の府である国会に、初めて接点が生まれました。以降、議連の方々とともに念願の法案成立に向けて歩むことになり、中西健夫ACPC会長と石破会長のコミュニケーションも深まっていきました。今号の連載対談では立法への道程を振り返る内容になると思いきや、2人の視線はすでに次に向かっているようです。
中西:先ほど携帯に残っている写真を見ながら思い出していたんですが、石破先生と初めてお会いしたのは2012年の8月9日でした。
石破:2012年……7年も前なんですね。
中西:僕はもともと政治の世界には無縁の人間でしたが、コンサートの会場不足問題に大きな危機感があり、それをきっかけに、政治の側からこの問題を一緒に考えてくださる方がいらっしゃらないだろうかと考えたんです。環境大臣を務められていた鴨下(一郎)先生とは、洞爺湖サミット(2008年)の環境イベントなどで何度かご一緒させていただいたことがあったので、ご相談に伺ったんです。その流れで、鴨下先生、秋葉(賢也)先生にも同席いただいた上で、石破先生にもお会いできたんです。
石破:そうでしたね。思い出しました。
中西:相当怖い方なんだろうなと思って、ちょっとドキドキしながらお話したのを覚えています(笑)。その時は議連を立ち上げるという発想が我々にはなかったのですが、ご相談しているうちに議連が具体化していったという感じでしたね。
石破:当時は民主党政権でしたからね。私は自民党の政調会長を務めておりましたが、野党という立場なので政権の政策に携われるわけではありませんでした。ただ、まあ、70年代の女性アイドルに限れば、ほぼ全曲歌えるという非常に変わった趣味の持ち主ですので(笑)、歌謡曲といいますか、音楽が人一倍好きであるのは間違いない。だからお声がかかったのかと思っておりました。
中西:石破先生がキャンディーズのファンだということは存じ上げておりました(笑)。
石破:数少ない体験ですけれど、コンサートにも行きました。実際に行ってみると、レコードやテープで音楽を聴くのとは違う親近感もあり、一体感もあって、ステキだなあと思いました。ライブで音楽を楽しむことは、全く違う体験なんですよね。ですから中西さんからお話を伺って、ライブ業界で会場が不足していることや、色々な規制が多いことを知り、自分の学生時代を思い返してみましたし、ライブを楽しみにしている若い人達が、もっと高揚感や一体感を味わえるようになるといいなと感じたのが、その時の印象です。