会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。

なぜ今「複合型ビジネス・コンベンション」なのか
プロモーターは地域に何をもたらすべきなのか

音楽×映画×インタラクティブ

小島紳次郎
No Maps実行委員会副委員長
株式会社ウエス代表取締役社長
撮影:小嶋秀雄

札幌を舞台に「オール北海道」の態勢で運営された複合型ビジネス・コンベンション「No Maps」が、昨年10月5日から15日まで開催されました。同コンベンションは「新たなビジネスを生み出し、加速させるための場」「北海道で暮らす人達にとっても、直接的・間接的に価値のある場」を提供することを目的に、多様な事業・催事を展開。実行委員会の副委員長を務めたのはウエスの小島紳次郎代表取締役社長です。ウエスが過去に開催した複合型コンベンションとしては「MIX 2000」が挙げられますが、今回はさらにスケールアップしたもの。小島社長に開催に至る経緯と背後に込められたプロモーターとしての思いを伺いました。

小島 MIX 2000の時は音楽を主力としていたんですけど、No Mapsは「Music部門」に「Interactive部門」「Film部門」を加えた3本柱になっています。「Music部門」はウエスが、「Interactive部門」は初音ミクなどのソフトウェアを開発したクリプトン・フューチャー・メディアが、「Film部門」はショートフィルムの映画祭(札幌国際短編映画祭など)を手がけているマーケティング・コミュニケーション・エルグが担当する形になっています。この3者でMIX~が終わったあたりからNo Mapsにつながる構想を話し合い始めて、去年がプレ開催、今年が本開催第1回となりました。

最大の目的は札幌を、北海道を元気にしなくてはいけないということです。札幌市を中心に、北海道や北海道経済産業局など行政の皆様からもサポートをいただき、資金的なバックアップを含めて、今後No Mapsが民間自走できるような素地をつくっていこうと考えています。とにかく時間はかかりましたが、それ以外にも色々なところへアプローチをしまして、地元の大学や専門学校、高校なども加わって、オール北海道で臨める態勢を目指しました。

北海道で独自のコンテンツを育てていき、インタラクティブ技術も一定のレベルをキープしていけば、地元に残る若い人達も出てくるでしょう。でも、さらにその先を見据えるなら、現状では外からの刺激が足りないと思います。今回は「Conference(会議)」「Exhibition(展示)」「Event(興行)」「Meet-up(交流)」「Experiment(実験)」といった事業を用意しましたが、その中で国内、海外のクリエーターが札幌で出会ったり、異色の組み合わせを実現させることを目指しました。アイドル・イベントにブロックチェーン技術の実証実験を導入するなど、音楽や映画にインタラクティブを組み合わせることにも力を入れました。映像やステージ演出を手がけるプログラマー、真鍋大度さんとポケモンGOの開発プロジェクトを担当した川島優志さんが、札幌の狭い会場でセッションをやったのも貴重でしたね。そういったことが北海道の若い人達に刺激になればと思います。


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