湯川:今日は中西さんと対談させていただけるということで、身近な人にライブについての意見を聞いてきたんですよ。一つは少し前までは熱心にライブに足を運んでいたのに、最近行かなくなってしまった上の年代からの意見で「この頃ライブに行かないのは、お客さんがみんないきなり立っちゃうからだ」と。「座って聴いてください」というルールのライブをやってほしいといっていました。
中西:お客さんには、どちらの選択肢もあるじゃないですか。立つ自由もあれば、立たない自由もあるわけです。そこを完全に制限してしまうのは問題があるので、「2階は着席でお楽しみください」「1階は自由です」とするのがいいんじゃないでしょうか。
湯川:なるほど、それだったらいいですよね。もう一つは、ライブハウスにはエレベーターがない、歩いて下りなきゃいけない、車いすでは入れないところがありますよね。小さなライブハウスでも、車いすで入れるような会場を積極的に増やしてほしいという要望がありました。
中西:バリアフリーの問題は、障害を持った方への配慮だけではなく、高齢化社会に向けてどうするかという、もっと広いテーマだと思っています。僕もそうですが、年を重ねると本当にちょっとした段差で転ぶわけですよ。ライブハウスの環境を整備するなら今しかないと思いますし、本当に真剣に考えるべきですよね。
湯川:上の年代もそうですが、若いリスナーも心からライブを楽しみにしていると思うんです。一生懸命アルバイトをして、やっと買ったチケットを握りしめてライブに来るお客さんを大切にし、そんなお客さんをいかにして増やすかを考えないと、アーティストの将来もなくなってしまいます。ライブの担い手である方々には、そのことを絶対に忘れてほしくないですね。