髙田:「長崎スタジアムシティプロジェクト」の全体像としては、スタジアムに加えて、5000〜10000人規模のアリーナと、400室のホテル、オフィスは2フロアくらいあって、あとは商業施設。できれば大学も誘致したいと思っています。さらには長崎の夜景が有名な稲佐山に登るロープウェイの駅を、スタジアムの中に設置したいですね。
中西:雇用を生むという意味でも、今おっしゃった「街づくり」の感覚が鍵になってきますよね。
髙田:自社でもこのプロジェクトに向けて、2020年4月に14人、長崎で新卒採用します。新卒はグループ全体で50〜60人採るんですけど、そのうち14人は、このプロジェクトに関わりたいという人で採用を決めました。
中西:長崎は人口の流出が激しい地域だそうですが、若者をただ引き留めようとしても僕はあまり効果がないと思っていて、他県の若者を含めて「そこに行きたい、働きたい」と思わせるような街づくりをするのが理想じゃないでしょうか。
髙田:私はよく社内で「大義と欲」の話をするんですが、「地元を盛り上げるべきだ」「人のためにこうするべきだ」という正しい大義に、個人の欲を満たすものがセットにならないと人は動かない、ムーブメントは爆発しないと思っています。スポーツによる地域の創生を目指す際にも、スポンサーがお金を出す大義も大切ですが、出資することでこういう得をした、こんなに楽しかったとスポンサーの方々の欲を満たすことをしないと絶対成功しないと思います。それはつまり、お金を出したいと思わせる中身をちゃんと示せるかということですから。
中西:街づくりについては、シンガポールのタンピネス・ハブ(前号参照)というお手本もあります。あのエリアが素晴らしいのは、子供からお年寄りまで受け入れられる施設が揃っているところです。
髙田:海外でいえばロンドンへ視察に行きましたが、キャッシュレススタジアムは想像以上に便利でした。色々なことが簡単で。
中西:もちろん簡単なほうがいいんですが、まだまだ日本ではキャッシュレスという概念自体が受け入れられないですよね。
髙田:確かにそうですね。でも、例えば1日2万人お客様がいらして、その半分の人が支払いでお釣りをもらうとすると、2回ずつの買い物で1日2万回、小銭を数えて出すという動作をやっていることになる。それはかなり手間ですよね。キャッシュレスを貫いたら、オペレーションの費用も落とせますし、みんな楽だと思います。そういうアプリの開発も、既に始めていますし。
中西:そういう新しい試みをぜひ貫いてほしいです。