中西:エリーさんが描く絵は素晴らしいですね。「ハートのレオナ」(大宮エリー個展「大自然の動物たち~ハートのレオナ原画展とともに~」)は六本木ヒルズ(A/Dギャラリー)で観ましたよ。
大宮:ありがとうございます。六本木で飲んだ後の酔い覚ましによかったでしょう(笑)。今年の秋にロンドンで個展を開く予定ですが、そこに至るまで色々な出来事があって。ずっと前に香港に行った時、ギャラリーの人と話をしたんです。「あなた、何やっているの?」「絵です」なんて挨拶から始まって。「絵を見せて。日本には草間彌生がいるけど、彼女に続く女性アーティストがなかなか出てこない。あなた、なれるかもよ、草間に」と急にいわれたんです。こちらからすれば「えっ、マジで? 本気でいっているの、この人?」って感じじゃないですか。その後「ちょっとウォッチさせて」といわれて、それから5年間たまに会った時に「最近の絵を見せて。うん、じゃあsee you」みたいなやり取りを続けていたんです。そうしたら、去年いきなり連絡がきて、「香港で個展をやりましょう。時期がきました」と。実際に個展をやってみたら作品が完売しちゃったんです。
そのギャラリーは、(ジャン=ミシェル・)バスキアとか(アンリ・)マティスを手掛けているところだから、世界中のギャラリーの人やコレクターが来るんです。それで、たまたまバスキアの商談で来ていた人が、私の絵を見て、「これ、誰の絵?」と聞いてきたらしいんですが、後日「あの作家、気になるから、今度こっちでも個展をやらせて」となって……その人がロンドンのビッグギャラリーの人だったんですよ。
中西:なるほど。それがロンドンの個展につながるんですね。エリーさんはミュージシャンとの交流もそうだし、アートの世界でも人との出会いによって大きな出来事を引き寄せてくるのがすごい。もちろんご本人に才能があるからできることだと思いますが。
大宮:草間彌生さんのようになれるとは、おこがましくて全く思っていませんけれど、「気さくな草間」「一緒に飲める草間」くらいは目指そうと思います(笑)。