中西:議連を立ち上げるきっかけになった会場不足問題のその後の状況は、東京近郊のアリーナクラスの会場が2020年以降、かなり揃ってくると思います。一方で関西地区はまだまだ不足しているといえるでしょうね。
野村:大阪・名古屋のアリーナクラスは確かに足りないですよね。東京でオープン予定なのは1万人キャパの会場ですが、そこを起点にツアーに出ようとすると同じ規模のステージセットを持ち回ることが必要になってきます。その際に大阪や名古屋は選択肢が限られてしまう。
中西:福岡は新しく会場ができる予定があるので、大丈夫だと思います。
野村:東京は2000キャパがちょっと足りないんじゃないでしょうか。
中西:ホールがもう1つ2つは欲しいですね。会場不足の問題は、コンサートの開催が土日に集中していることと表裏一体です。そこにアルバイト不足問題も加わって、かなり深刻になってきています。2023年くらいからは、会場は空いていても、人手が足りなくて舞台がつくれない、コンサートが開催できないということが現実に起こり得る可能性もあります。
野村:働き方改革で労働時間の問題も出てきますから、さらに危機感が増しますよね。
中西:僕はキャリア組のアーティストは、平日開催でもいいんじゃないかと思っています。お客さんの年齢層が65歳以上で、時間的な余裕がある方だったら、曜日に関係なく足を運んでくださるんじゃないでしょうか。
野村:開演時間も、きっと早くしたほうがいいでしょうね。開催日・時間については色々とシミュレーションして、成功事例をつくっていくしかないとは思います。
中西:平日も変わらず集客できるアーティストはなるべく平日に開催するという可能性を、我々プロモーターもプロダクションのマネージャーの皆さんも一緒に考えていかないと。音楽業界は舞台・演劇の興行サイクルを参考にするべきだと思うんですよ。舞台は平日の昼間に結構やっていて、集客も良かったりします。主に年齢層の高いお客さんが中心だからだと思いますが、働き方改革で、勤めている人達も平日に休める機会が増えるかもしれないですしね。それと舞台は日程の発表が早いんです。1年前に告知していたら、お客さんも平日に休みをとりやすいですからね。コンサートのように数カ月前の発表だとお客さんも平日に予定を入れにくいと思います。
野村:平日と週末では会場費も違うと思うんですけれど、マネージメント側にももう少し明確にコストが見えてきて、お得感が出てくると、変わるきっかけにはなるんじゃないでしょうか。
中西:会場費が倍違っていてもいいんじゃないかと思います。現在でも差はありますが、そんなに大きな差ではないですからね。新しくできた会場には、例えば月曜日の使用料が100万円だったら、土曜日は200万円でいいと提案しています。会場費だけではなく、例えばアーティストやスタッフの宿泊費も現実的に平日のほうが安く済むわけですから、チケットの値付けにも反映できるはずです。平日のコンサートは料金が安いというイメージをお客さんにも浸透させたいですね。
野村:結局のところ、土日に会場を押さえるのは、マネージャーの使命みたいになっているじゃないですか。アーティストに対して「土日、取れたよ」と言えるのが、マネージャーの力の証しのようになっていて(笑)。
中西:それでプロモーターに「なんとか土日を取ってください」と依頼が来るわけです(笑)。いや、本当に厳しいんですよ。社内でも取り合いですから。スタッフそれぞれ、自分が担当しているアーティストに思い入れがあるので、必死なんですよ。