会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。

数と質のジレンマ

アルバイトで募集している職種と採用方法は?

落合:主に来場者へ対応する案内係、警備、搬入出やステージの設営業務、物販業務、ケータリングなどがあります。募集をかけるのは、昔は紙媒体でしたが、今は自社のホームページやネットなどを活用しています。応募があったら次は面接を行い、業務上の注意事項を説明し採用。最近の若い人達の中には、話しかけられてもきちんと返事ができない人もいるので、お客様に対する礼儀などは、毎回、会場での事前のミーティングで­きちんと説明しています。

小崎:アルバイト採用のシステムについては、おそらくシミズオクトさんが一番進んでいらっしゃると思います。全国展開をされていて、首都圏では東京、横浜、埼玉、千葉などにオフィスがあり、ライブ会場の近隣に住んでいる希望者にアクセスしやすい。弊社のオフィスは目黒なのですが、現在は若者が集まりそうな池袋などに拠点を構えたり、こちらから足を運んで、面接の場を設けています。これはうちだけではなく、同業他社も行っていることです。

田山:プロモーター側からすると、運営に関しては、単なるアルバイト感覚ではなくお客様を招き入れ、安全に、快適にライブを楽しんでいただき、無事に送り出す、ライブを作り上げる我々と同じスタッフの一員である感覚を常日頃より浸透させていただいている、ライブパワーさんやシミズオクトさんのような信頼できる会社に、一括して業務をお願いしているのが現状です。

人材確保を担っている会社にとって、発注に応じた人数を集めることと、スタッフの質をキープすることにジレンマが出てくるわけですよね。

小崎:会社同士で協力し合って、連携をとり、不足分なども互いに補い合って、業務にあたることを行っています。その中で研修を受け、場慣れしている人材をなるべくキープしようとしていますが、どうしても事足りないと、二次派遣会社に人数集めを依頼せざるを得なくなります。教育が行き届いていないアルバイトが多くなると、接客のクオリティにも問題が出てきますし、事故やケガにつながる危険もあります。それをどうしても打破したいので、ACPC加盟社のコンサートプロモーターの方々に相談をしているところです。

田山:例えば初めてライブに足を運んだお客様が、運営の不備で嫌な思いをしてしまって、次からライブに足を運ばなくなってしまったら、我々にとっては大きな損失ですよね。運営のクオリティを保つことは、ライブ・エンタテインメント業界全体の問題ですので、ACPCの全国に広がるつながりを活かして、この問題を話し合っていくべきだと思います。


関連記事

[SPRING.2020 VOL.45] ACPCが進めている新型コロナウイルス対策

[SPRING.2020 VOL.45] 3つのディスカッションから見えてきた、スポーツとエンタテインメントの接点

[SPRING.2020 VOL.45] 自然災害対策 会員社アンケート結果報告② 見えてきた大きな影響、導き出された今後の行動計画

[WINTER.2019 VOL.44] 自然災害対策 会員社アンケート結果報告 2019年、大きかったライブ・エンタテインメントへの影響

[AUTUMN.2019 VOL.43] 障害者のライブ・コンサート参加に関するアンケート 代表的な「困りごと」と必要な情報

[AUTUMN.2019 VOL.43] 新日本プロレス、業績「V字回復」の秘密

[SUMMER.2019 VOL.42] 事故が起きてしまった際のリスク低減もめざして

[SUMMER.2019 VOL.42] 「チケット適正流通協議会」も始動

[SPRING.2019 VOL.41] チケット不正転売禁止法」が成立した日本の現状を世界のライブ関係者が出席した「ILMC31」でプレゼンテーション

[SPRING.2019 VOL.41] ライブ・エンタテインメントの明日を拓く会

[WINTER.2019 VOL.40] 超党派議連で法案成立の報告会開催
多くの議員が「法律の実効性が重要」と発言

[WINTER.2019 VOL.40] A.C.P.C. 30th ANNIVERSARY PARTY

[WINTER.2019 VOL.40] 東條岳弁護士がレクチャー/「チケット高額転売規制法」の活かし方、広め方

[WINTER.2019 VOL.40] 座談会/2018年12月8日、「チケット高額転売規制法」成立。

[SUMMER.2018 VOL.38] コンサートプロモーターが日々実感している「使いやすい会場」「使いにくい会場」

[SUMMER.2018 VOL.38] チケット高額転売問題、法案提出へ 超党派の国会議員が参加し総会を開催

[SUMMER.2018 VOL.38] 「大阪北部地震」「平成30年7月豪雨」 相次ぐ災害と現地コンサートプロモーターの対応

[SPRING.2018 VOL.37] #高額転売NOを伝えていくために

[WINTER.2018 VOL.36] Sapporo Creative Convention「No Maps」 開催の目的とプロモーターの役割

[SPRING.2017 VOL.33] REPORT チケット高額転売問題 対策が進むイギリスの現状

同じカテゴリーの記事

[AUTUMN.2024 VOL.53] 中西健夫ACPC会長連載対談 Vol. 37 村松俊亮(一般社団法人日本レコード協会会長)

[SUMMER.2024 VOL.52] 中西健夫ACPC会長連載対談 Vol.36 小林武史(音楽プロデューサー)

[SPRING.2024 VOL.51] 中西健夫ACPC会長連載対談 Vol. 35 松本隆(作詞家)

[AUTUMN.2023 VOL.50] 中西健夫ACPC会長連載対談 Vol. 34 さだまさし(シンガー・ソングライター、小説家)

[AUTUMN.2023 VOL.50] 中西健夫ACPC会長連載対談 Vol. 33 島田慎二(B.LEAGUE チェアマン)

[SUMMER.2023 VOL.49] 中西健夫ACPC会長連載対談 Vol. 32 檜原麻希(株式会社ニッポン放送 代表取締役社長)

[SPRING.2023 VOL.48] 中西健夫ACPC会長連載対談 Vol. 31 横田健二(日本舞台技術スタッフ団体連合会 代表理事)

[WINTER.2023 VOL.47] 中西健夫ACPC会長連載対談 Vol. 30 都倉 俊一(第23代文化庁長官)

[SUMMER.2022 VOL.46] 中西健夫ACPC会長連載対談 SPECIAL 音楽4団体座談会

[SPRING.2020 VOL.45] 3つのディスカッションから見えてきた、スポーツとエンタテインメントの接点

もっと見る▶