インスパイアされたのは、テキサスで開催されているサウス・バイ・サウスウェスト(SXSW)です。音楽や映画のプレゼンテーションも盛んですけれど、2007年にSXSWでTwitterが発表され、その年にブレイクして以降はインタラクティブの勢いがすごい。配車アプリのUberもそうだし、民泊サイトのAirbnbもそうです。様々なサービスが発表されて、クリエーターも登場しています。参加するためには8〜13万円くらいの高いパスを買わなくてはいけないのですが、参加者は本気でビジネスにつなげようとしているから、盛況が続いているんですね。音楽に関しても、デモテープや名刺を渡しながら、みんな積極的にライブハウスを回っていて、熱心に交流しています。
何より開催地であるテキサスのオースティンが活性化されたわけですよ。80年代には人口が30万ちょっとだったのが、今は90万くらい。サムスンやIBMなどの研究開発の拠点があり、テキサス大学の分校がオースティンにあって、そこも大変優秀です。新しい技術と情報がどんどん集まってきています。ミュージシャンも、オースティンにいれば食べていけるので拠点にする。歌えるバーもあるし、ライブハウスもありますから、とにかくチャンスが多いんですよ。
北海道もミュージシャンの宝庫なんです。松山千春、中島みゆき、安全地帯、ドリカム、GLAY、サカナクション……面白くて個性的な音楽をやっているミュージシャンを数多く輩出しています。もともとそういったベースがあるので、もう少し刺激を与えたら、音楽で食べていける環境が整った街になるんじゃないかと。No MapsをSXSWと同じレベルまで到達させるのはなかなか難しいですが、札幌という街の中でチャンスが生まれるようなイベントをやっていきたいし、地元の活性化につなげたいと思います。