岸谷:ライブが終わって、お陰様で多くの金額の義援金を集めることができました。もちろん、このお金はライブに足を運んでくれた方からお預かりしたものなので、私達メンバー5人が責任を持って使い道を考えなくてはいけない。とはいえ、口座の開設から税金まで、私達には分からないことだらけで、ここからまた中西さんに頼りっぱなしというか、すべて信用してお任せしたような状況でしたね。
中西:本音をいえば、僕も公的な機関にお金をそのままドンとお預けするのが一番楽だと思っていました。でも、震災から時間が経過して、とにかく義援金の金額が大きいことを優先する風潮から、世の中のモードが変わっていったんです。どこにお金を使うことがリアルに被災地のためになるのか、きちんと検討する必要が出てきましたね。色々と寄付先を調べていって、これは大変だなと思いながらも勉強になりました。
岸谷:その過程をすべて中西さんは報告してくれて、その中でメンバーが「プリプリらしいね」と賛成した先が、第1次、2次支援になったんです。
中西:第3次支援が仙台PITの建設になったのも、もともとメンバーが「“音楽”にまつわる形での寄付がしたい」といっていたからです。でも、いざ音楽に3億円を使うとなると、ちょうどいい規模の話はなかなかない。
岸谷:私もない知恵を絞って、ファンドみたいなものがいいのかな、と考えてみたりしていましたが、最終的に仙台PITの建設に協力できることになって本当に良かったと思っています。プリプリのチケット代が義援金になるということで、私達も協力している気持ちになれる、それがすごくうれしいという声がお客さんの間で大きかったですね。何かしたいけど、何をしていいか分からない人が、プリプリを通して協力できるのがうれしいと。そういった人達の気持ちに応えるためにも、ライブハウスのように形のあるものができて、自分も参加したことをずっと実感できるものがあるといいなとは思っていました。
中西:僕が本当にうれしかったのは、仙台市役所での記者会見が決まって、メンバーに「どうします? 行きますか?」と聞いたら、見事に5人全員からすぐに「行きます」と答えが返ってきたことでした。「それが私達の責任だから」と。内心、僕も「これは全員で行かないと意味がない」と思っていたので感動しました。プリプリのオンナ気を感じましたね。
岸谷:責任という意味では、今回の再結成の幕引きとして、仙台PITのこけら落としで私達がステージに立つことも、どうしても必要ですよね。だって、他のアーティストがやるといっても……ねえ(笑)、それはやりにくいですから。