中西:スポーツはグローバルな人材を育成するためにも必要なものだと思います。スポーツをよく知っていれば、海外の人たちとの会話のポイントになりますし、やっぱり共通言語なんじゃないでしょうか。僕自身も、オランダの有名なミュージカル・プロデューサーと交渉している時に、なかなかうまくいかないことがあったのですが、スポーツに助けられました。オランダならサッカーだなと思って、サッカーの話をし始めたら状況が全く変わって、一気にコミュニケーションが取りやすくなったんです。スポーツがお互いの心を共有するためのポイントになることを改めて感じましたね。
為末:特にサッカーのようなグローバルなスポーツなら、「あのシュートの瞬間を憶えている」というだけで、感動を共有できますからね。
中西:もちろん音楽も共通言語になり得る可能性は高いと思いますし、スポーツや音楽などの文化を学んで、世界に向けて表現することは大事だと思います。
為末:若い人たちに対する効果は高いでしょう。先ほども選手村のボランティアの話をしましたが、オリンピックに向けてボランティアの若者を育てていくというプロセスが、英語教育の面でも活かせるかも知れません。
中西:オリンピックの運営構想は、当然スポーツ界を中心に各分野のトップの方々が進めることになると思いますが、あまり上の年代の考えばかりにならないほうがいいですよね。若い人たちも含めて、幅広い年齢層のアイディアを取り入れるべきだと思います。
為末:未来へ向けて発想することが一番大事なんですよ。1964年のオリンピックのために建築したインフラが、40〜50年経った今も使われているわけですから、今回も2020年への準備じゃなくて、2060〜70年までを見据えた準備が必要になるんじゃないでしょうか。東京の未来像を考えた時に、大きな特徴は高齢化社会がより進むということですよね。今回はオリンピックだけでなく、パラリンピックも招致しましたので、その点を踏まえた都市の機能を整備していけば、そのままバリアフリーになって、高齢化に対応した街になるはずです。
中西:パラリンピックを中心に考えた都市計画ができるといいですよね。