会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。
今号の加盟社 東京:(株)ウドー音楽事務所
全国に広がるACPC加盟社は、地元エリアの地域性、これまで歩んできた道程によって、各社のカラーがさまざまに分かれています。本連載では毎号、ACPC正会員社が持つオリジナルのプロモート術、会社を支えるスピリット、そして時には多忙な日々を乗り越えるための「遊び」まで、各社の「独特ポイント」をご紹介していきます。
- (株)ウドー音楽事務所
- 〒151-8542 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-53-2 BIZ原宿2F
TEL 03-3402-5999 FAX 03-3423-8095 URL http://www.udo.co.jp/ 代表者 会長 有働誠次郎 設立 1967年11月15日 業務エリア 全国 主な自主企画公演 ERIC CLAPTON、NORAH JONES、BON JOVI、BILLY JOEL、AEROSMITH、JEFF BECK、STING、SARAH BRIGHTMAN、IL DIVO、DEEP PURPLE、SANTANA、EAGLES、LED ZEPPELIN、BOB DYLAN、DAVID BOWIE、VAN HALEN、AC/DC、TOTO、U2、IRON MAIDEN、MICK JAGGER、METALLICA、PINK FLOYD など
ロック・レジェンドたちの日本公演は、なぜ、成功するのか?
カリスマ性の源泉
1967年に設立、70年代に入ると当時は「手の届かない憧れの存在」だった海外アーティストを次々と招聘。「日本初のロック・プロモーター」になったウドー音楽事務所は現在、その長い歴史を充分に活かしたビジネスを展開しています。ロックがあくまで「若者のための音楽」だった70年代当時は想像もできなかった、ロックのシニア・マーケットを開拓。もちろん新進アーティストの招聘も行っていますが、キャリアの長いアーティストたちの公演を大規模なスケールでプロモートするのは、近年のウドーの真骨頂といえます。ロック・レジェンドたちの日本公演に関する独自のノウハウを、同社取締役副社長・高橋“TACK”辰雄さんにお伺いしました。
高橋:レジェンドたちの公演が盛況なのは、日本だけの現象ではなく、例えばアメリカでは親・子・孫の3世代が揃って会場に足を運び、ロックを楽しんでいる姿は珍しくありません。エリック・クラプトンやジェフ・ベック然り、ローリング・ストーンズ、エアロスミス然り。彼らのライブの特徴は、観客との距離の取り方にあるんです。観客が望むヒット曲もセットリストに入れつつ、決してそれだけにはならない。観客に歩み寄りつつ、自分たちのやりたいことも貫く。オーディエンスとベッタリになると、カリスマ性が薄れることを、よく分かっているんです。例えばあまり知られていないカバー曲を演奏したとしても、表現力があるので充分観客を楽しませることができます。長く活動してきたアーティストは、どんな曲でも、いいグルーヴ、いいヴァイブレーションを出せる。音楽的なルーツがしっかりしていて、引き出しが多いということでしょうね。
プロモートする側も、アーティストのライブにおける力量を見極めることが大事だと思います。アルバムの売上、過去の動員といったマーケティング的な見地も必要だとは思いますが、やはり息長く観客に支持されているアーティストは、ライブの質も高いんですよ。
それと海外のライブシーンを把握しておくことも大切。しばらく噂をきかないなと思っていたバンドが、またライブを再開する場合がありますから。特に2〜4組がパッケージでツアーを回る例が多い。来年3月に日本公演があるジャーニーも、来日前にはナイトレンジャーと組んでツアーをしています。
60年代後半から70年代に活動を開始したアーティストは、一度バンドが解散したり、人気が落ちたり、どこかで逆境を経験しています。弊社はそんなアーティストたちが、いい時も悪い時も、ずっと招聘を続けてきましたので、彼らが再び第一線で活躍するようになっても公演を実現できるんです。