会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。

6月15日 東京富士大学・二上講堂にて

パネリスト=清水卓治(JASST理事長/シミズオクト代表取締役会長)、山下嘉治(JASST副理事長/日本ステージ代表取締役会長)、鈴木義昭(JASST幹事)、北谷賢司(エイベックス・インターナショナル・ホールディングス・リミテッド代表取締役社長)、山崎芳人(ACPC会長)、鏡孝彦(ACPC専務理事)、山本幸治(ACPC理事)

司会進行=本多健二(JASST幹事会議長)

安全管理と事故補償の課題を徹底討論

舞台制作者を中心にライブ・エンタテインメントに携わる人々が集い、舞台安全の現状と課題を考える、NPO法人 日本舞台技術安全協会(JASST)の「安全シンポジウム」が開催されました。2010年度に続いてACPC役員が参加したパネル・ディスカッションの内容をお伝えします。
2011年8月に米国インディアナ州で発生し、7名もの犠牲を出した「インディアナ・ステート・フェア」のステージ崩落事故を事例に挙げてディスカッションはスタート。徐々に日本の現状に議論は移っていきました。インディアナの事故では、州政府が「主催者」として責任者の筆頭になっていることに対して、ACPC側は「日本では明確な主催者がいない」ことを懸念。主催者を「事故の時に補償金を負担できる、諸官庁への責任を負う者」と定義するならば、運営委託興行の場合、プロモーターは決して主催者とはいえず、公演中止の決定や避難誘導などで独自のジャッジができない現状が語られました。
JASST側からは、「日本は自然災害が多く、より安全管理の問題は切実」という前提を踏まえ、業界全体で安全を考え、誰が事故を補償するのかを考える必要があると提言。労働基準監督署からも、責任者を明確にすることが求められているという報告もありました。
今後の目標として、プロモーターによる自主興行の場合、収益性に対する保険の料率が高いため、それに対して設備側の関与の余地をJASSTとACPCで話していること、これまでアンタッチャブルであったプロダクションをこの場に招き、理解を促すことでリスクの分担につなげ、これからの保障のあり方をプロダクションも含めた関係者で考えていく形に持っていくことが必要という声もありました。

ACPCより参加の山崎会長(写真左)、鏡専務理事(中央)、山本理事(右)※役職名は開催時のもの


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