ライブが主役だったTIMM
第8回東京国際ミュージックマーケット
10月24~27日品川プリンスホテル/ 品川ステラボール
昨年10月に行なわれた大きなイベントは、一方が国際音楽見本市、一方が東日本大震災で被災された方々のためのチャリティーと、その開催目的は違っていたとはいえ、ともに音楽関連団体が一致団結して運営されたところに共通点がありました。
第8回東京国際ミュージックマーケット(2011 8th TIMM)では、例年通り財団法人音楽産業・文化振興財団(PROMIC)と経済産業省が主催、各団体が協力態勢をとりました。国内最大規模の国際音楽見本市らしく、オープニングレセプション、プレゼンテーション、個別商談会、ビジネスセミナー、ショーケースライブと多彩なイベントが揃っていましたが、中でもビジネスセミナーとショーケースライブは、これからの音楽ビジネスを展望するヒントに溢れた充実の内容でした。
ビジネスセミナーのセッション1は『中国、「興行ビジネス」の現状』。日本側からモデレーターとして横澤優さん(アソジア代表取締役/日本人アーティストの中華圏でのマネージメント、コンサート・ブッキングなどが業務)が立ち、3人の中国人パネリスト(コンサート・プロモーター、レーベル兼ロック・フェス運営会社、オンライン・チケット販売事業者)とともに、中国のライブ・ビジネスを語りました。日本にとって中国は、海賊盤の横行もあり、正規の音源ビジネスが根づかない「未開の大国」でしたが、ライブがその突破口になり得るという認識は出席者全員に共通していました。現在の中国の興行ディールは、テレビでのパフォーマンスからイベントでの2曲程度の披露、そして単独コンサートまで、アーティストのギャランティーを明示するところからスタートするそうで、誤解を招きがちな曖昧さは、関係者の努力で排除されつつあるという印象が残りました。
セッション2は『インターネットにおける新たなビジネスモデル、課金システム』。ライブ・ビューイング・ジャパン、グーグル、ドワンゴ(ニコニコ動画担当者)の各社が、それぞれ自社の事業展開をプレゼンテーションするスタイルでしたが、3社ともにライブ映像をコンテンツとして重要視している点は同様。期せずして「ライブが主役」となったビジネスセミナーは、ACPC会員社の皆さんにも参考になる内容だったはずです。
ショーケースライブは、ここ数年、アニソンに絞ったプレゼンテーションが続いていましたが、今回は幅広いジャンルの21組が登場。1000say、Im takt、kanon×kanon、城南海、THE BOHEMIANS、SEAMO、スメルマン、7!!、Daichi、玉置成実、DEPAPEPE、南里侑香、バニラビーンズ、HANGRY&
ANGRY-f、francoco、Broken Doll、MASTERLINK、May J.、MEGARYU、ももいろクローバーZ(50音順、以下同様/TIMM連携イベント「ゴールド・コースト・アンカバード」の優勝バンドも参加)というラインアップは、一見、まとまりがないように思えますが、ライブに接してみると、どのアーティストもヴィジュアルや音楽性の中に「海外で受けそうな要素」が感じられ、全体がきちんとプロデュースされていることが見て取れました。また、トラック・ショーとライブでの生演奏を2つのステージを使ってうまく転換するなど、ステージ構成にも工夫が感じられました。