書籍名:プロレスラーは観客に 何を見せているのか
出 版:草思社
一般社団法人コンサートプロモーター協会
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会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。
ライブ・エンタテインメント業界人必読!
コンサートプロモーターが今、読むべき本を毎号紹介します。
書籍名:プロレスラーは観客に 何を見せているのか
出 版:草思社
世界最大のプロレス団体であるアメリカのWWE、日本、メキシコなど世界のリングで活躍したTAJIRI選手の著書。「体験的表現論」といった内容で、プロレス・ファンだけではなく、エンタテインメント全般に興味がある読者からも支持を得て、話題の書となっている。
著者が25年以上のキャリアの末に辿り着いた結論は、プロレスラーの運動能力やテクニックは、あくまで試合を楽しんでもらうためのツールにすぎず(ただし、それを身につけるためにはハードなトレーニングが不可欠)、最も大切なのは「観客に何を、どう伝えるか」。例えば体格の小さいレスラーが大きな相手と対戦する場合、どんな技をかければ観客に効果が伝わりやすいのか。痛みや怒りといったレスラーの心理状態を客席まで届けるためには何が必要なのか。観客の心を動かす方法論を「サイコロジー」という言葉を使って説明している。
TAJIRI選手は「プロレスは『人に見られること』が大前提なので、『見るに値する何か』を提示できないプロレスラーには存在理由がない」と断言しており、プロレスもライブ・エンタテインメントの一つである。本書の内容は「コンサートやフェスは観客に何を見せ、聴かせているのか」「演劇は観客に何を見せているのか」を考える際にも応用できる。