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チケット不正転売禁止法成立から1年、対策の最前線
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チケット不正転売禁止法成立から1年、対策の最前線
ライブEXPOセミナーにチケット適正流通協議会のメンバーが登壇しました。
法施行の効果と次の課題
第7回ライブ・エンターテイメントEXPOが2月5日から3日間、幕張メッセで開催され、7日にチケット適正流通協議会の中心メンバーが登壇。「チケット不正転売禁止法成立から1年、効果と今後の課題」をテーマに、同協議会の代表幹事を務める日本音楽制作者連盟の野村達矢理事長、同幹事であるACPCの石川篤総務委員、同アドバイザーの東條岳弁護士(Field-R法律事務所)によるセミナーが行われました。
まず石川委員が、2019年6月から施行されたチケット不正転売禁止法によって、状況がどのように変化したか、施行前後のデータを比較して紹介。チケット転売サイトなどへの出品枚数は、17年の約870万枚が19年には約575万枚と減少し、定価と転売価格の1枚当たりの差額は17年の55,900円から、19年は8,825円まで抑えられました。一方、リセールチケットの購入数でみると、17年の189万枚から19年は244万枚に増加し、活性化が進んでいます。「施行後には不正転売での逮捕者も出ました。改善に向けて動いているものの、差額や機会損失額、搾取額がゼロにはなっていないため、今後も適正な流通に向けてのトライを続けなければいけない状況です」。
野村理事長はチケットのリセールにおいて、ユーザーが正規のチケット二次流通サービスと不正転売業者によるサービスの区別を付けにくいことが大きな問題だと指摘しました。「やむを得ない理由で公演に行けなくなった場合でも、正規のトレードができるよう取り組んでいます。法律の運用には、法制定に沿った特定チケット(特定興行入場券)指定が重要なため、特定チケットへの理解を深めて、活用をお考えいただきたいと思います」。
まず特定チケットの指定を
東條弁護士は、まず法律の内容、規制対象となる行為を説明し、特定チケット指定のためのチェックリストを解説。「特定チケット指定には、条件を満たさなければいけませんが、それほどハードルは高くありません。特に座席指定公演に関しては、ほぼ労力なしでできると考えて下さって結構です。すでに多くの公演が特定チケットとして発売され、各プレイガイドもノウハウが蓄積されています。また、たとえ特定チケットでなくとも、同意の無い転売禁止、有償譲渡禁止と券面に明示することが大切です」。
違法行為のさらなる抑止のためには、特定チケットへの指定を一般化させる必要があり、それについての情報をチケット適正流通協議会のHPで確認いただきたいとのこと。各社の協力を得ながら、引き続きチケット高額転売対策に取り組むことが述べられ、セミナーは締めくくられました。