会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。
新日本プロレス、業績「V字回復」の秘密
チケット販売からプロモーションまで 菅林直樹会長が語る「スポーツとエンタテインメントの融合」
「手売り重視」からの脱却
アントニオ猪木氏によって1972年に旗揚げされた新日本プロレスは、1990年代に東京ドームをはじめ全国のドームで大規模な大会を開催。興行的な全盛期を迎えましたが、その後、冬の時代を経験。現在は今年、上場を果たした株式会社ブシロードを中核とするブシロードグループの一員として、再び業績を伸ばしています。この「V字回復」の背景には、チケットの販売形態からプロモーションまで様々な変革があり、コンサートプロモーターと連携する機会も増えた経緯があります。興行会社としての新日本プロレスの歴史を語る菅林直樹会長のお話からは、スポーツとエンタテインメントの理想的な融合に向けたヒントも伝わってきます。
―プロレス興行におけるチケット販売は、どういう形態なのでしょうか。
菅林:チケットの販売は、もともと手売りを重視していたんです。残念ながらプレイガイドを通しての販売だけでは満員にならなかったので、例えば各地の有力者、有力企業の方々にまとめて買っていただいたり、時には営業部員がビルの上から下まで各階に入っている会社をノックして、飛び込みで売り込んだりもしていました。興行を開催する地域を宣伝カーで回って、街にポスターを貼って歩くことが営業部員の仕事の基本という時代が長く続きましたね。手売り重視はやめましょう、プレイガイドで売れるように宣伝方法も変えましょうと方針転換したのは10年くらい前のことなんです。
―方針転換の理由は?
菅林:どん底まで会社の業績が下がった時がありまして、親会社が代わるタイミングでもあったのですが(2005年にユークスが親会社になり、2015年からはブシロード)、旧態依然のままでは業績回復は難しいであろうということで、営業方針も見直しました。