書籍名:聴かずに死ねるか!
出 版:リットーミュージック
一般社団法人コンサートプロモーター協会
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会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。
ライブ・エンタテインメント業界人必読!
コンサートプロモーターが今、読むべき本を毎号紹介します。
書籍名:聴かずに死ねるか!
出 版:リットーミュージック
1965年にモダン・フォーク・カルテットのウッドベース担当として全米ツアーを経験、ソロシンガーとしてはナッシュビル録音の名盤『GREETINGS from NASHVILLE』(72年)を残している麻田浩氏の自叙伝。ミュージシャンとしても特筆すべきキャリアを残している氏だが、76年に設立したコンサートプロモーター「トムスキャビン」の足跡こそが本書のハイライトである。「小さな場所で、良い音で」をモットーに、エリック・アンダーセン、トム・ウェイツ、エルヴィス・コステロ、トーキング・ヘッズなどを招聘。ローリング・ココナツ・レビュー、ハイドパーク・ミュージック・フェスティバルといったイベントも手がけた。
トムス流プロモートの最大の特長は、「大ヒットがなくても確かな音楽性で一定の支持を得ているアーティストを、最小限の機材とバンド編成で呼ぶ」スタイル。ビジネスモデルとしては「コストをできるだけ抑え、公演数を増やすことでツアー全体の収支のバランスをとる」やり方で、これにより東名阪など大都市以外では行われることが少なかった海外アーティストの全国ツアーを実現させた。各地域に良い音楽を着実に届けてきたトムスキャビンの足跡は、これからのプロモーターの在り方を考える上でも参考になるだろう。