会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。

ライブ・エンタテインメントに関わる専門知識からコンサートプロモーターの歴史まで。明日の仕事に役立つ「STUDY」をお届けします!

チケットの高額転売問題を文化芸術推進フォーラムでアピール

ライブ産業の課題解決に向け、「文化省」創設への協力も

2018年11月7日、フォーラム『チケット高額転売の現状と規制法案を語る』が衆議院第2議員会館で開催されました。中西健夫ACPC会長、日本2.5次元ミュージカル協会の松田誠代表理事、川崎フロンターレの藁科義弘代表取締役社長、帝国劇場の阿部聖彦支配人より、チケット高額転売の深刻化が伝えられたほか、ミクシィの奥田匡彦取締役執行役員統括管理本部長は、同社が以前運営していたチケット転売サイト「チケットキャンプ」が高額転売の温床となったことを謝罪。今後はサービス運営を通して得たデータを活用し、ライブ産業に貢献する意向が述べられました。

また中西会長からは、ライブ産業にはチケット高額転売以外にも多くの課題が存在すること、そしてその課題解決と、日本の芸術文化のさらなる発展を目標に、文化行政の機能強化を求めて「文化省の創設」への協力に取り組むことも語られました。

この催しは文化芸術推進フォーラム(注)が主催した連続フォーラム「今こそ文化省!」の一環で、連続フォーラムではオペラや伝統芸能といった演目の活性化や、劇場環境・著作権制度・文化政策を巡る問題など、多様な課題が議論されました。

文化芸術推進フォーラムでは、現行の文化庁を2020年までに「省」へ格上げするための議論が2011年より重ねられています。文化省が創設されることで、文化を担当する大臣が内閣に置かれることになり、文化行政の機能強化、予算・組織体制のさらなる拡充が見込まれます。また文化省の主導で、文化芸術行政を国家戦略として位置づけたり、クールジャパンや障害者の芸術文化活動といった施策の推進を通して文化芸術の価値を高め、新たな社会環境の形成に寄与することが期待されます。 ACPCでも文化省創設に向けての取り組みを行って参ります。

[注]文化芸術推進フォーラム:文化芸術関係19団体が集い、政策提言などを通して、文化芸術の豊かな創造、発展、継承を目指すフォーラム。超党派の文化芸術振興議員連盟と連携した活動を行う。

参考文献:朝日新聞デジタル 2018年12月28日 「文化庁」を「省」へ、野村萬さんら提言 「他省庁の施策も一体で」

▲11月7日のフォーラム登壇者(一部)。左より、浮島智子文部科学副大臣、文化芸術振興議員連盟の伊藤信太郎事務局長、ACPCの中西健夫会長、日本2.5次元ミュージカル協会の松田誠代表理事、川崎フロンターレの藁科義弘代表取締役社長、帝国劇場の阿部聖彦支配人、ミクシィの奥田匡彦取締役執行役員統括管理本部長。写真右は連続フォーラム「今こそ文化省!」の開催を告知するフライヤー
(撮影:小嶋秀雄)


関連記事

[SPRING.2020 VOL.45] チケット不正転売禁止法成立から1年、対策の最前線

[WINTER.2019 VOL.44] 出演者や運営に障害者、スタッフはコンサート・イベント科の学生 GCグランドフェスティバルが目指す「共生社会」

[AUTUMN.2019 VOL.43] ライブ・エンタテインメント業界の「働き方改革」対応のために、Q&Aで学べる『労務管理ハンドブック』が発行

[SUMMER.2019 VOL.42] navi STUDY 展示会や出版物で表現された「プロモーターの歴史」

[SPRING.2019 VOL.41] navi STUDY 「第6回ライブ・エンターテイメントEXPO」のセミナーで、スポーツ×ライブの新機構「ECSA」設立がアナウンス

[SUMMER.2018 VOL.38] navi STUDY Coachella Valley Music and Arts Festival 2018視察報告

[SPRING.2018 VOL.37] navi STUDY 第5回 ライブ・エンターテイメントEXPO」基調講演採録

[WINTER.2018 VOL.36] navi STUDY ライブ・エンタテインメント議員連盟総会で法案の骨子を承認

[AUTUMN.2017 VOL.35] navi STUDY チケット定価再販サイトでネットダフ屋対策が進むアメリカ

[SUMMER.2017 VOL.34] navi STUDY 筑波大学、文科省、宇宙航空研究開発機構、ベンチャー企業などが協力

[SPRING.2017 VOL.33] navi STUDY 世界的に増えつつあるアーティストの展示イベント

[WINTER.2017 VOL.32] navi STUDY フェスにおけるダンス系アクトの可能性とEDM最新事情

[AUTUMN.2016 VOL.31] navi STUDY 20周年を迎えたフジロックの進化、各地の新傾向フェス

[SUMMER.2016 VOL.30] navi STUDY 「何でもあり」のニコニコ超会議に10~20代が集まる理由

[SPRING.2016 VOL.29] navi STUDY ライブを意識した作曲術、「アニソンとライブ」の関係性

[WINTER.2016 VOL.28] navi STUDY セキュリティを巡る議論、事件の経済的影響、パリ市民の活力と支援の広がり

[AUTUMN.2015 VOL.27] navi STUDY 相次ぐ会場の改修・閉鎖とオープン 2016年「以降」会場不足問題を一覧表でまとめ

[SUMMER.2015 VOL.26] navi STUDY プロモーター自らが発信する、フェスをテーマにしたWEBマガジン

[SPRING.2015 VOL.25] navi STUDY 昭和音楽大学 平成26年度ACPC寄附講座「音楽産業概論Ⅱ」

[WINTER.2015 VOL.24] navi STUDY 「11thTIMM」レポート

[AUTUMN.2014 VOL.23] navi STUDY エグジビション ジャパン社主催「第1回 ライブ&イベント産業展」

[SPRING.2014 VOL.22] navi STUDY 平成25年度ACPC定時社員総会報告

[WINTER.2014 VOL.21] navi STUDY PAチーム、SPC peak performance主導の「東北ライブハウス大作戦」

[AUTUMN.2013 VOL.20] navi STUDY 「10thTIMM ショーケースライブ」レポート

[SUMMER.2013 VOL.19] navi STUDY 6月14、15日 韓国・チャムシル総合運動場 アジア版Ultra Music Festival「Ultra Korea」レポート

[SPRING.2013 VOL.18] navi STUDY New Orleans Jazz&Heritage Festival現地レポート

[SPRING.2013 VOL.17] navi STUDY 風営法「ダンス規制」が音楽文化に与える影響

[WINTER.2013 VOL.16] navi STUDY ACPCセミナー2012 グレッグ・パーロフ氏 講演会ダイジェスト

同じカテゴリーの記事

[SPRING.2020 VOL.45] 心の免疫力

[SPRING.2020 VOL.45] プロレスラーは観客に何を見せているのか

[WINTER.2019 VOL.44] 万博インバウンド

[WINTER.2019 VOL.44] 細野観光 1969-2019 細野晴臣デビュー50周年記念展 オフィシャルカタログ

[AUTUMN.2019 VOL.43] この人達のおかげです

[AUTUMN.2019 VOL.43] 障害者の舞台芸術 鑑賞サービス入門

[SUMMER.2019 VOL.42] 蒸し暑い大阪で

[SUMMER.2019 VOL.42] チケット不正転売禁止法がよくわかるQ&A

[SUMMER.2019 VOL.42] 展示会や出版物で表現された「プロモーターの歴史」

[SPRING.2019 VOL.41] 新元号、新顧客

もっと見る▶