チケットの高額転売、会場内外での障害者対応、アルバイト不足、コンサートの土日・祝日開催集中、フェスと単独ライブの両立……ライブ・エンタテインメントにおける全国共通の課題か、エリア独特のテーマか。コンサートプロモーター自身が「この地域のこの問題」にフォーカスを絞り、解決への糸口を探る不定期連載。
会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。
この地域 この問題 ISSUES IN THE AREA.
ライジングサンの駐車券が高額で転売されている問題
スマホ・チケットの導入
今年8月11~12日に開催されたRISING SUN ROCK FESTIVAL2017 in EZO(以下、ライジングサン)は見事にチケットを売り切りました。2 0 0 8 年以来、9 年振りのソールドアウトという明るいニュースが届けられた一方、ここ数年で浮上してきたのが、駐車券の高額転売という問題。車で来場し、キャンプサイトにテントを持ち込み、家族や仲間でフェスを楽しむお客さんが多いライジングサン特有の問題ともいえますが、本誌でも度々お伝えしているように「全国のコンサートプロモーターが今まさに解決しなくてはいけない共通の課題」でもあります。同フェスの主催者であるウエスの常務取締役・若林良三さんは、この問題をどのように捉えているでしょうか。
―まずはライジングサンの駐車券が高額転売されるようになった背景をご説明いただけますか。
若林:ここ数年、ライジングサンで一番頭の痛い問題が、会場内駐車券が高価で転売されていることなんです。テントサイトをご利用いただく場合、駐車場からテント道具を運び込むことになり、会場内にある駐車場だと二つのテントサイト(HEAVEN’テントサイト、FORESTテントサイト)への距離が近いこともあって人気が高いのですが、スペース的には5000台分くらいしかないんです。そこを狙われて転売ヤーに買い占められて、転売されてしまっているのが現状です。
―転売への対策をどのように考えていますか。
若林: 今年は対策として、初めてスマホ・チケットを導入しました。ただし、車で入場されるお客さんが対象ですから、認証に時間がかかって公道に待機車の列が長々とできてしまうと、交通障害にもつながります。ライジングサンの開催地は、工業用地としてつくられた場所で、周辺の道路も物流ルートとして3車線の広い道になっていますので、本来渋滞することはありません。テントサイトの引き換えも含めて前日開放したり、車でいらっしゃるお客さんに分散して来ていただくように誘導したり、一般の方々に交通渋滞でご迷惑をかけないよう行政の方々と打ち合わせもしています。つまり、通常であれば大きな問題はないのですが、今年は心配でしたね。認証の手順と車をどうさばいていくかシミュレーションした上で当日を迎えたとはいえ、果たしてスマホ・チケットの導入がベストだったのか、今も考えています。