5月26日、改正民法が参院本会議での賛成多数で可決、成立しました。これは明治29(1896)年の民法制定以降、初めての大幅な改正で、3年程度の周知期間を経て2020年ごろに施行される予定です。
法改正の主な部分は、お金の貸し借りや賃貸住宅の敷金、連帯保証人の規定といった債券法に関わるものですが、それに合わせて商品の売り買いに関する規則も変更されています。この改正で特に注目されるのが、ネット通販や公共サービス、保険などの契約における「約款」を明文化し、効力を認めたうえで、消費者保護の規定を含む点です。以前の民法には約款に関する規定がなかったとされますが、今後は例えば約款で「事業者は契約において損害賠償責任を一切負わない」のような、消費者に一方的に不利な条項は無効とされます。
ACPCが平成23年に発表したライブ・エンタテインメント約款では第17条(返品等)で「チケットの返品やキャンセル、取り替え、変更は不可」であることを明示しています。これはチケットが物品であると同時に債券とも捉えうるものであり、時間的・数量的に限られたものであるという特性に則っていますが、改正民法でこの条項をどう捉えるか、議論の余地がありそうです。
今回の民法改正は、急増したネット通販にて、消費者に不利な約款が原因となったトラブル多発が背景にあると見られ、消費者保護が理念とされています。法改正がライブ・エンタテインメント産業にどのような影響を及ぼすか、今後も継続してご報告いたします。
【参考文献】
朝日新聞:平成29年5月26日「欠陥品の修理請求可能に法定利率を5%→3%改正民法が成立」
日本経済新聞:平成29年5月27日「法律知って資産防衛」