書籍名:ビートルズを呼んだ男
出 版:小学館文庫
一般社団法人コンサートプロモーター協会
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会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。
ライブ・エンタテインメント業界人必読!
コンサートプロモーターが今、読むべき本を毎号紹介します。
書籍名:ビートルズを呼んだ男
出 版:小学館文庫
コンサートプロモーターの自伝・評伝が出版されることは少ないが、名著も存在する。例えば野地秩嘉『ヤァ!ヤァ!ヤァ!ビートルズがやって来た― 伝説の呼び屋・永島達司の生涯』(幻冬舎)、内野二朗『夢のワルツ―音楽プロモーターが綴る“戦後秘史”50年』(講談社)、ロバート・グリーンフィールド他『ビル・グレアムロックを創った男』(大栄出版)。そのうち最初に挙げた一冊が改題の上、版元を変えて二度目の文庫化を果たした。
ACPC会員社であるキョードー東京の創業者・永島達司さんの生涯を追った本であり、一度は目を通した方も多いと思われるので、今回の文庫化で新たに加わった原稿を紹介する。「二〇十七年」と題された一文には、2013年に行われたポール・マッカートニーの来日公演(東京ドーム)の楽屋へ、著者がポールを訪ねるシーンがある。永島さん亡き後、著者を楽屋に案内するのはキョードー東京の山崎芳人社長。著者が実際にポールと対面するまでの、バックステージでの短時間の描写をプロモーターが読めば、ドキドキするようなリアリティを感じ取れるだろう。また、永島さんの没後約20年を経た2017年にも、ポールが変わらぬ姿で来日公演を行っている事実からは、永島さんが紡いできた物語は未だ終わっていないことも伝わってくる。滋味深い一冊だ。