今号でACPCの新加盟社としてご紹介するのは、いずれも今まで正会員でなかったことが不思議な程、私達との距離が近い3社です。最初にご登場いただくのは、坂本龍一、久石譲など日本を代表するアーティストの質の高いコンサートを手がけつつ、韓流・華流ブームのはるか以前からアジアのエンタテインメントを紹介してきたことで知られるプロマックス。日本とアジア各国、単独コンサートとオムニバスイベントを「双方向」で行き来する独特のプロデュースワークによって、ライブ・エンタテインメント業界の中でも、最もブランド力の高い社の一つになっています。会員社のプロモーターと連携しながら、企画・制作・招聘を担当することも多く、これまでも賛助会員としてACPCの活動にご協力いただいてきたプロマックス代表取締役の遠山豊さんに、改めてお話を伺いました。
会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。
新加盟社紹介
プロマックス
アジアへの視線
ご存知の方も多いと思いますが、弊社はディスクガレージの関連会社ということもあって、これまでもACPCの皆さんとも非常に近い位置にいましたし、一緒に仕事をさせていただく機会も多かったのですが、今回、中西(健夫)さん(ACPC副会長/ディスクガレージ代表取締役)とも相談の上、正会員として加盟することになりました。
弊社は設立からちょうど20年になります。私は1980年にキョードー東京に入社して、興行宣伝部から関連会社のキョードープロモーションに移りました。その後、独立して、当時ディスクガレージの社長だった市川(義夫)さんとジョイントベンチャーで始めたのがプロマックスです。設立当初から、企画・制作・招聘をベースとするプロマックスと、関東エリアの公演運営やチケット販売を担うディスクガレージという分担で仕事を進めています。関東以外でのコンサートの時は、各エリアのプロモーターの方々と組ませていただくことも多いですね。また、ブッキングエージェント、プロモーターとしては、坂本龍一さん、久石譲さん、大貫妙子さん、矢野顕子さんという方々を手がけてきました。今後もこれらのアーティストとともに音楽におけるアダルトマーケットを定着させていきたいですね。
もう一つ、弊社の特徴を挙げるならアジアに目を向けてきたことです。中国、韓国、台湾の東アジアが中心ですが、アジアのアーティスト達の日本での展開と、日本のアーティストのアジアでの展開を双方向で考えてきました。一昨年は台湾のF4(ジェリー・イェン、ヴァネス・ウー、ケン・チュウ、ヴィック・チョウ)を招聘し、日本側スタッフの演出で横浜アリーナ、武道館、大阪城ホールでコンサートを行ないました。韓国のRAIN(ピ)も、昨年、今年とさいたまスーパーアリーナ、大阪城ホールで公演していて、このあたりがアジア全域で大規模なコンサートを行っています。香港返還の97年に今は亡きレスリー・チャン(張國榮)の公演、2000年に「NANTA」という韓国のパフォーマンス・グループを招聘した頃は、まだ韓国や中国のエンタテインメントに対する抵抗感が残っていましたが、ここ数年で大きく変わりました。逆に現在は韓流、華流ブームになり様々な会社が参入してきていますが、弊社はあくまで音楽を中心に据えて、マーケットに見合った着実なビジネスをしていきたいと思っています。
守りながら壊していく力
私自身、やはりコンサートビジネスに優秀な人材、色々な夢を持っている若者がより多く入ってきて欲しいと思いますし、そういう土壌を自分達が作っていかなくてはいけないと感じています。これまでの30年間は、右肩上がりでマーケットが大きくなっていったわけですから、幸福な時代だったといえるでしょう。でも、今後は音楽産業のパイが小さくなってきて、プロモーターが生き残っていくためには大変な時代になってくる。その時代に我々が飲み込まれてしまうのではなくて、常に新しいトライをして、業態を時代に合わせて変化させながら、あるポジションをキープするということが一番大事だと思います。急激に音楽業界が変化している今、ACPCが取り組んでいる問題の中では、やはりこの業界全体を守っていくことが大きなテーマだと思うんです。守っていくというのは、別に壁を作ろうということではなくて、既存の概念を壊しながら前へ進み、新たなマーケットを創造していくことも含まれていますよね。微力ながら弊社がその一助になれればと考えています。