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20周年を迎えたフジロックの進化、各地の新傾向フェス

電子マネー決済、インバウンド対策、エリアの特色を活かした新たな試み

1997年にスタートしたフジロック・フェスティバル(以下、フジロック)が20周年を迎えました。日本で最初の長期継続型の大型野外フェスとして、フジロックが日本の音楽産業に果たした功績と影響力は計り知れません。天候にも恵まれた今年は12万5000人を動員して大盛況。その場内では、さまざまな場面で改善や工夫が図られていました。

大きな変化として、従来はグッズ販売などの一部で可能だった電子マネー決済が、飲食ブースでも広く導入されて、参加者の利便性が大きく向上。出店者側にも、釣銭の準備などの負担軽減が見込まれます。また場外エリアにはATMも設置されました。

一方で出演者のラインナップを見れば、世界各国の多種多様なジャンルのアーティストが並ぶ中に、初めて落語家が登場。海外フェスで見られるようなトリビュート・ステージも新設され、有名アーティストのカバー・アクトも参加。フジロックの醍醐味の〈音楽的多様性〉もますます豊かでした。

また近年のフジロックでは台湾・韓国・中国からの来場者が増加しており、キャンプサイト内の案内板などで中国語の表記も見られました。同様のユーザー層の多様化はサマーソニックでも進んでいます。同フェスでは以前よりアジア圏のアーティストに特化したステージがありましたが、近年はウェイボーの公式アカウントを開設し、中華圏のユーザーに向けたインバウンド施策も進めています。

そして全国に目を向ければ、〈各地域の文化・風土・特産品を生かした「祭り」〉を標榜する「ONE+NATION music circus」が、宮崎県・都城市(焼酎と肉が特産品で、ふるさと納税でも日本一の税収を記録)にてスタート。福島空港では東日本大震災から5年の契機に、世界初のエプロン(飛行機駐機場)サイドステージでライブが行われる「ふくしまおおぞらフェスタ」が初開催。新潟の佐渡島で行われるフリーライブ「そうだ!佐渡へ行こう!!」も2年目を迎えました。福岡・宗像では沖ノ島の環境保護や世界遺産の本登録を推進する「宗像フェス」が開催。2日目の荒天による中止が惜しまれますが、ローカルな特色を持ち味にしたフェスの活況はこれからも続くでしょう。

そして北海道では、最新のITテクノロジー・音楽・映画をミックスした国際コンベンションのNO MAPSがスタート(今年はプレイベント)。アメリカのSXSWのように、コンテンツ複合型のイノベーションが生まれることも期待されます。

写真提供:フジロック・フェスティバル(左/飲食ブースで電子マネー決済をする来場者)ONE+NATION music circus(右/「祭り」のムードが伝わってくる客席 Photo by Platini Studio masayoshi fujieda)


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