書籍名:コンサートという文化装置 交響曲とオペラのヨーロッパ近代
出 版:岩波書店
一般社団法人コンサートプロモーター協会
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ライブ・エンタテインメント業界人必読!
コンサートプロモーターが今、読むべき本を毎号紹介します。
書籍名:コンサートという文化装置 交響曲とオペラのヨーロッパ近代
出 版:岩波書店
コンサートプロモーターの歴史は、いつから始まったのだろうか? 本書に記された以下の一文によれば、コンサートプロモーターにあたる仕事は、18世紀のイタリアにおいてすでに存在していた。
「イタリアでは(十八世紀から)十九世紀前半まで、劇場が公演を主催するのではなく、インプレサリオと呼ばれる興行師が現在でいえばプロデューサーのような役割を果たして公演を組織した」
これはオペラの公演について書かれた記述である。現在、クラシックのコンサートといえばオーケストラによる交響曲の演奏が一般的だが、楽器演奏(器楽)がコンサートの中心になったのは19世紀後半。それ以前はオペラを始めとする声楽の地位が圧倒的に高く、器楽はあくまで「声」「言葉」の伴奏に過ぎなかった。本書は声楽から器楽へとコンサートのフォーマットが移っていった過程をヨーロッパ全域において検証した本だが、その過程の中に現在のライブ・ビジネスにつながる諸問題がすべて出揃っていることに驚かされる。公演を構成するコンテンツが観客に受け入れられるポイント、劇場運営のノウハウ、音楽周辺のメディアが果たす役割など、ライブ・エンタテインメントに携わる人間にとって必要なヒントを、コンサート文化の歴史を学びながら見つけ出すことができるだろう。全プロモーター、必読。