書籍名:新・観光立国論
出 版:東洋経済新報社
一般社団法人コンサートプロモーター協会
サイトTOP>会報誌 ACPC navi>WINTER 2016 VOL. 28>新・観光立国論
会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。
ライブ・エンタテインメント業界人必読!
コンサートプロモーターが今、読むべき本を毎号紹介します。
書籍名:新・観光立国論
出 版:東洋経済新報社
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、インバウンド消費(またはインバウンド需要=外国人観光客の誘致による消費活動)という言葉を耳にすることが多くなった。外国人観光客の誘致は東京だけの問題ではなく、地方創生にも深く結びついており、全国のプロモーターの間でも懸案になっている。
そういった傾向に拍車をかけたのが本書『新・観光立国論』である。「観光立国」というテーマは2003年から政府が掲げており、東日本大震災の影響による2011年の落ち込みがあったにせよ、日本への外国人観光客の訪問数は順調に伸びている。ある意味では楽観視しても良い状況であったが、本書によれば経済成長の柱となるレベルにはまだまだ至っていないとのこと。「爆買い」の中国人より潜在的な消費力が高いヨーロッパからの観光客が伸びていないなどの問題点が指摘され、「おもてなし」の心と治安の良さ、交通機関の整備だけでは真の観光立国への道は険しいと説く。著者は日本在住のイギリス人。ゴールドマンサックス社出身ならでは経済への鋭い分析と、裏千家に入門するほどの日本文化への理解が両立しているだけに、厳しい言葉にも説得力がある。昨年6月刊のロングセラー書だが、プロモーターにとっては今からでも読むべき一冊だ。