書籍名:台湾の歓び
出 版:岩波書店
一般社団法人コンサートプロモーター協会
会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。
ライブ・エンタテインメント業界人必読!
コンサートプロモーターが今、読むべき本を毎号紹介します。
書籍名:台湾の歓び
出 版:岩波書店
「JAPAN NIGHT in TAIPEI」が開催された台北では、同時期に日本の俳優・永瀬正敏の写真展が行われていた。写真家としても活動歴がある永瀬は、2014年の台湾映画『KANO』(日本では『KANO 1931海の向こうの甲子園』の邦題で今年公開/馬志翔監督)に主演。この映画の撮影中に共演者や台湾の街並を撮影し続け、写真展の開催・写真集の出版につながった。音楽だけではない。日本と台湾の間では様々な文化交流が現在進行形で行われている。
「文化交流」の記録として一読をお勧めしたいのが四方田犬彦の『台湾の歓び』。映画史と比較文学論を専門とする四方田は、2013年から14年にかけて台湾に滞在、2つの大学で客員教授を務め、その間に多くの映画人、文学者、詩人などと出会う。さらには、彼らの作品がどのようなバックグラウンドから産み落とされたのかを探るため、台北から台南までの各地を訪れ、多くの民族や言語に触れる。
本書からはっきりと伝わってくるのは、どんなジャンルの作品も歴史や風土、気候など作者の出身地の地域性と無縁ではないということだ。「文化と地域性」は、まさにコンサートプロモーターの日々の業務とも大いに関係がある。他国の文化を考えることは、自らの足下を見つめ直す良いきっかけになるだろう。