会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。
第6回東京アジア・ミュージック マーケット
第6回東京アジア・ミュージック マーケット開催
国産音楽コンテンツを各団体協力のもとに世界へ発信
去る10月19日から23日にかけて、経済産業省と財団法人音楽産業・文化振興財団(PRO-MIC)が共催する「第6回東京アジア・ミュージック マーケット」(6th TAM)が、品川プリンスホテル(ステラボール/宴会場)で開催されました。「オールジャパンで世界に発信! 国内で開催される唯一の国際音楽マーケット!」という開催テーマ通り、日本を代表する音楽関連団体が後援に名を連ね、ACPCも各団体とともにイベント運営に協力をさせていただきました。
リアルにビジネスに直結するより実践的なプログラム
一昨年よりTAMは、日本が誇るコンテンツを広く海外にアピールすることを目的に開催される「JAPAN国際コンテンツフェスティバル」(CoFesta=コ・フェスタ)のオフィシャルイベントの一つとして位置づけられるようになりました。CoFestaはゲーム、アニメ、マンガ、キャラクター、放送、映画など、あらゆるコンテンツ産業のイベントが揃った世界最大規模の統合的コンテンツフェスティバルですが、そのなかでもジャンルを音楽に特化したプログラムを持つのはTAMが唯一。ここ数年、日本のコンテンツが「COOL JAPAN」というフレーズとともに欧米やアジアから注目を集めていますが、その流れのなかで日本の音楽も強くその存在感を示すべく、PROMICを中心に各音楽関連団体が協力態勢をとり、海外向けに様々なプレゼンテーションが行なわれました。
10月19日に開かれたオープニングレセプションから始まり、翌20日は各レコード会社を中心に、自社アーティストの魅力と音楽性を海外のバイヤー/レーベル関係者に伝えるプレゼンテーション。続いて21、22日の2日間を費やして、ステラボールに並んだ各社ブースでの個別商談会に入りました。プレゼンテーション〜商談への流れに最も時間をとった内容からは、TAMがアーティストの「顔見せ」的なショーケースではなく、実際に世界に向けた販路、ビジネスネットワークを切りひらいていくための貴重な機会であることが明確に感じられました。
23日にはビジネスセミナーが開催。セッション1は「激動する欧米の音楽市場と非メジャーレーベルの現状」と題し、日本と同様に不況下にある欧米の音楽マーケットの現状がパネルディスカッションされました。パネラーとして欧米の非メジャーレーベル関係者、日本の音楽事情にも詳しい学識経験者といった方々が参加していましたので、日本の音楽産業の担い手たちが、どこにチャンスを見いだすべきか—のヒントになったのではないでしょうか。セッション2は「日本アーティストの欧米進出と配信の現状」。こちらは実際に日本の音楽の「輸出」と「輸入」にそれぞれの立場で関わった方々がパネラーとして顔を揃え、配信ビジネスを含めた様々な可能性を模索しました。両セッションとも、日本のアーティストの海外進出を夢物語としてとらえるのではなく、リアルにビジネスに直結させようとする意志が強く示された内容でした。
コアなものほど世界に伝わる アニソンが証明した「法則」
ビジネスセミナーと同日23日夜に行なわれたのがアニメソングライブ。今年のTAMのライブは、COOL JAPAN時代を象徴する「アニソン」にテーマを絞り、日本での盛り上がりをそのまま海外の音楽関係者に体験してもらうプログラムになりました。出演アーティストは生沢佑一、飛蘭、腐男塾(フダンジュク)、牧野由依(以上、五十音順)。会員社の皆さんのなかには、アニソンに馴染みがない方もいらっしゃると思いますが(今号ではアニソンライブについて2-3面の特集でも触れています)、間違いなくアニソン界では「豪華な顔ぶれ」と断言できるラインアップ。それを証明するかのように、会場となったステラボールの1階フロアは、一般からの観覧申し込みによって集まった観客で埋め尽くされました。
出演アーティストがアニメ/ゲームの主題歌を歌う時には、その作品の映像が後方のスクリーンで流れることも多く、さらにはその作品の登場キャラクターや声優、主題歌から挿入歌までを知り尽くした観客が、独特のコールと振り付けでアーティストを盛り上げる—といったアニソンならではのステージマナーも展開され、日本のアニソンパワーを世界に知らしめる一夜になりました。一見、閉鎖的でコアなものほど、世界に幅広く伝わる可能性がある。それが「COOL JAPANの法則」なのかもしれません。