今年は、ACPCの団体設立25周年にあたり、記念事業の実施が検討されていました。それが最終的に「仙台での記念事業セミナー開催」という形になった経緯は、中西健夫会長の挨拶で説明されました。
「25周年記念事業は、通常であれば東京のホテルの宴会場でパーティーを開催することが考えられます。もちろん、それはそれで良いと思いますが、何かもっと違った形で、ACPCらしくできないかと検討した結果、会員社の皆さんに仙台に集まっていただき、セミナーを行うことになりました。現在は東日本大震災から時間が経ち、ともすると震災直後の復興へ向かう気持ちを忘れがちになってしまいます。僕はこれまで4回ほど被災地を訪れていますが、当初の信じられない光景は徐々に変わりつつあり、人々の心も同じように変化していきます。そんな中でも、我々のテーマがライブ・エンタテインメントに何ができるか—であることは変わりがないと思います。あの時、迷いながらライブを再開した気持ちを忘れないでいただきたいし、今日は皆さんでもう一度、仙台という場所で復興支援のことを考えてみたいと思います」
中西会長の言葉通り、セミナーは被災した宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区を訪れるところから始まりました。訪問の後はバスで移動し、講演会の会場である、せんだいメディアテークに集合。鏡孝彦専務理事の司会進行のもと、講演会のプログラムは、村井嘉浩宮城県知事のスピーチからスタートしました。村井知事は、まずACPCが25周年を迎えることへのお祝い、そして今回、復興支援を視野に入れて仙台でセミナーが開催されることへのお礼を述べてくださり、「復興への文化や芸術の役割はとても大きいと思います。そして、その担い手であるACPCの皆様の企画力に期待し、より一層わが県に元気を与えてくださることをお願い申し上げます」とスピーチを終えました。続いては、冒頭に記した言葉を含む中西会長の挨拶があり、その後、津波からの避難救助の様子を撮影した、切迫感のあるドキュメンタリー映像の上映が行われました。