世界を席巻している「踊れる音楽」「踊れるフェス」
Ultra Music Festivalは、アメリカの音楽レーベル・Ultraが主催する野外フェスティバルです。99年よりスタートし、イビサ島やブラジル、アルゼンチン、チリなどでも開催。本拠地であるマイアミ公演では2013年に30万人以上を動員するなど、世界最大級のEDMフェスとして有名です。
EDM とは「Electronic Dance Music」の略称。プログレッシヴ・ハウスやエレクトロ・ハウス、ブロステップといった現行ダンス・ミュージックのトレンドを大まかに括ったキーワードです。David Guettaの大ヒットや、Skrillexのグラミー受賞で弾みが付き、欧米では完全にメインストリームへ浸透。若年層を中心に絶大な支持を集めています。
6月14と15日、韓国のチャムシル総合運動場で開催されたUltra Koreaは、Ultra Music Festivalのアジア版として、2012年に始まりました。Armin Van BuurenやAvicii、AfrojackといったトップDJたちを筆頭に、60組以上のアクトが出演し、今年も連日大盛況でした(正式な入場者数は未発表。2012年は2日間で6万人以上を動員)。
フェスは照明・特効・映像などを駆使した派手な演出と、大音量のダンス・ミュージックによる巨大なパーティーという趣。客層は20代が中心(19歳未満は入場不可)で、男女比はほぼ半々。観客は世界中から参加しているようで、欧米人も少なくありません。ビートが強調されたEDMは、会場を盛り上げる機能性に特化しています。シンプルな構造ゆえ、「とにかく踊れる」という魅力が伝わりやすく、スケールの大きなイベントとも相性が良いようです。インストの楽曲も多く、言語の壁がないのもポイントでしょう。会場はクラブと同様の雰囲気で、ロック・フェスとは別種の観客が集まった印象もありました。入場の際は金属探知機でのボディーチェックが行われたり、場内の飲食・物販ブースでは電子マネーしか使えなかったりと、日本のフェスとは勝手が違う部分もあります。また、仮設トイレやゴミ箱がほとんどないなど、参加者が不便を強いられる場面もありました。会場では午後11時以降も大音量を出していましたが、これは日本の市街地では難しいでしょう。
8月上旬には早くも2014年のUltra Korea開催が発表され、早期のチケット購入者は料金を半額にするなど、大胆なマーケティングも目を引くところです。