書籍名:ラジオのこちら側で
出 版:岩波書店
一般社団法人コンサートプロモーター協会
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ライブ・エンタテインメント業界人必読!
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書籍名:ラジオのこちら側で
出 版:岩波書店
インターネットの登場により、世界中の楽曲へのアクセスが可能になった時、「これからはネットに溢れる音楽の中で、本当に聴くべき曲をユーザー向けにセレクトする役割が重要になる」との声が聞かれた。しかし、実際には、音楽を聴く環境がさらに進化する一方で、「良質な音楽の紹介者」を待望する声は目立たなくなってしまった。
ピーター・バラカン氏は、主に放送メディアを拠点に、DJ/ブロードキャスターとして「日本ではあまりオンエアされない、世界中のいい音楽」を紹介し続けていることで知られている。本書では、音楽出版社やプロダクションを経て、80年代半ば以降DJを務めるようになってから、現在に至るまでが語り下ろされているが、その軌跡に通底しているのは「こだわりと柔軟性」の共存。自ら選曲を行うことに対しては頑固にこだわると同時に、新しいメディアが登場した時には必ず試してみる柔軟性がある。だからこそ氏は、異国の地で貴重なポジションを維持できたのだろう。特定のアーティストがチャート上位を独占している日本で、氏の後に続くような存在が増えれば、「市場の多様性」という面ではプラスに働くはずだ。
ちなみに氏は本書の中で、iPodなどイヤーフォンで音楽を聴くのは苦手—と告白している。それは「音楽は本来みんなで聴くもの」という考えがあるからだそうだが、「みんなで聴く」場の代表であるライブについての氏の原稿も読んでみたい。