会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。

プロダクションにとってのチケット販売とは…

講師:森 高幸(テイパーズ代表取締役)

データベースの共有と「お客さんの表情」

プロダクションからの発注でファンクラブや通信販売事業などを手がけ、近年はファンクラブ以外のチケッティングの受託量も増えてきたテイパーズ代表取締役・森高幸さんにお話を伺った。
主にファンクラブ会報誌の発送を請け負っていたテイパーズが、会員へチケットを発送する際、プロダクションからの「公平に配券してほしい」という要望に応えたことから業務は変化していった。その後、オークションのチケット売買への不正対策も求められるようになる。「写真による本人確認など、不正利用を防ぐ努力はしていますが、ライブ会場での対応がほとんどなので、プロモーターの皆さんのご理解とご協力がなければ不可能です。正規のチケットを買ったお客さんにストレスをかけないために、各社が“このレベルで、こういう考え方で不正対策を”という意思表示をしていただくことが、一つの着地点ではないかと思っております」。
現在、プロダクションから望まれているのは、ファンクラブ会員のデータベースの活用。浜田省吾のファンクラブ・ツアーで実施した、チケットをQRコードで発送した例を挙げて「当日に座席がわかるので、オークション対策としても有効でした。将来的には会員証や電子カードでも行ないたいと考えています。様々なトライアルをしながら、プロモーター各社とファンクラブの持っているデータベースを共有できる環境を一緒に考えていきたいです。データを共有することで、ライブ後にお客さんに感謝の気持ちを伝えることも可能です」と今後の課題を語った。
ACPCへの要望として、「ライブ帰りのお客さんの表情により注目していただきたいですね。お客さんに“次もまた来たい”と思っていただくためにも、終演後にアーティストのメッセージを流すなど、フォローできることはたくさんあると思います」という言葉で締めくくられた。

※2講演ともナビゲーターは中西健夫ACPC副会長(ディスクガレージ代表取締役社長)が務めた


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