会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。
2010年度ACPC人材育成研修会
音楽の歴史をひも解く ~過去から未来へ~
時代を変える意志とメディア環境の変化
1971年にユイ音楽工房、75年にフォーライフレコード(現フォーライフミュージックエンタテイメント)を設立した後藤由多加さんに、ライブ・エンタテインメントの黎明期から未来へ向けてのお話を伺った。
大学時代、自分達が共感できるアーティストのコンサートを大学構内などで開催するなかで、吉田拓郎に出会う。「当時は邦楽のプロモーターという存在はほとんどなく、自分達で運営するしか方法はありませんでした。時代を変えていくぞという気持ちが強く、芸能界とは一線を引いたマネジメントスタイルのプロダクションを設立し、その後レコード会社も立ち上げました。75年に行なった“コンサート イン つま恋”では、チケット管理も充分ではなく客席は混乱状態でしたが、その後に各社で積み上げられた経験が、現在の夏フェスにつながっているのではないでしょうか。不可能だと思われることも、自分達の力で実現させて次代につなげる気持ちが大切です」。
メディア環境は30年前と様変わりしているが「SNSや動画サイトを、権利面での整備とともに積極的に利用して、メジャーなメディアとの棲み分けを考えるべきだと思います。スタイルを曲げずに歌の本質を考えて活動している次世代のミュージシャンも登場していることから、この数年で音楽シーンにも変化が訪れるのではないでしょうか」という後藤さん。また、キャリア組のアーティストについて、「団塊の世代がコンサートビジネスを支えているのは間違いありません。次代につなげるためにも、60歳を超えても音楽活動を続けてほしいですね」と語った。
最後に若い人達に向けて「自分がいなければ音楽の世界は成り立たないという心意気が必要です。明確な意志を持って仕事をして、音楽業界をさらに盛り上げてほしいと心から期待しています」とエールを送っていただいた。