会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。

次の課題は地方創生

これからは地方創生をテーマに記事をつくっていこうと思っています。安全面やチケットの高額転売、また会場でのアルバイト不足の問題などは継続的に取り上げていますが、今までやっていないという意味でも地方の開拓をテーマに掲げたいですね。全国的にライブ会場が不足している中で、ライブを開催したいんだけれども、やり方がわからない地方自治体がおそらくたくさん存在していて、その自治体とライブ関係の皆さんを結びつけるような働きができないかなと思っています。

みんなが大規模な野外フェスみたいなものをすぐにできるとは思っていないにしろ、ライブというとどうしても一定レベル以上のスケール感があるものをイメージしてしまうと思うんです。最初は数百人レベルからスタートして、何年か経って規模を拡大していくという、ロードマップの立て方自体がわからない人もかなり多いのではないでしょうか。2018年はそういった方々に情報を提供するような広がりのある企画をやっていきたいですね。一般的にも知名度があるアーティストを呼んで、人を一気に集めるだけがライブの成功の形ではなく、地元できちんとアーティストを育てるようなやり方をしていくことが、実は継続への近道だということを伝えていきたいんですよ。

その土地、その土地に根づくような音楽ってありますよね。例えば大阪はブルース系のアーティストが輩出されてきましたし、東京とは違う音楽文化が脈々と存在しています。同じような特徴が、各地の街にありそうな気がするんです。それを見つけてきて、しっかりプロモートして、地域の中で育てていくのが本来あるべき姿じゃないかなと思いますね。

全国のACPCの会員社の皆さんは、目の前にある仕事、数多くのライブのプロモートをこなしていかなければいけない毎日だと思いますが、自分達の拠点である街で、独自の音楽文化をどう発展させていくかという視点を持っていらっしゃる方も多いはずです。2つが共存しているのが健全な形なんじゃないでしょうか。CDは東京発信で全国のリスナーに聴いてもらうことが目的だと思いますが、ライブ文化はその土地だから面白いと思えることが素晴らしいわけですから。

ライブを行う場所の開拓とか、自治体との交渉とか、そういったことを1からスタートさせていくのは難しい面もあると思いますので、誌面上で「こういう場所で、こういうライブをやりたい」「この土地だったらライブができるスペースがある」といった情報交換が展開できると理想的ですよね。現状ではどちらかというと、チケットの問題にしろ、安全面にしろ、ライブ・エンタテインメント周辺の課題を1点1点つまびらかにしていくことが誌面の中心ですので、それをどうやって未来に向けてプラスに転じていくのか、次のステップを模索するページをつくれればと考えています。

▲昨年7月10日号第1回の誌面には中西健夫ACPC会長も登場(左)。本誌VOL.32にもご登場いただいた川淵三郎日本トップリーグ連携機構代表理事 会長を表紙に起用した昨年9月11日号。「観客文化」をキーワードにライブを多角的に分析


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