業界の仕組みづくりのようなことを提案すると、資本主義社会の問題である以上、競争原理に則ってつくり上げてください―という意見が立法や行政の側から出てくる可能性もあるでしょう。でも、消費者と事業者の約束として「最低限ここから上でフェアな競争をしましょう」みたいなスタンダードを示すことが必要になってくることもあると思います。
そのスタンダードが、もしかしたら会員社のコンサートプロモーターにとって、あるいはプロダクションやチケット事業者にとって、すべていいものとは限らないかもしれない。スタンダードになり得るのは、一つの業態やあるジャンルのみを利するものではなく、様々な立場からの意見を聞き、調整した上で生まれてくるものです。社会との整合性や消費者の利便性も考慮しなくてはいけません。業界団体の役割は業界にメリットをもたらすことですが、ラボのポジションはそれだけではなくて、社会の中でライブ・エンタテインメントはどうあるべきかにも重きを置いて考えていく必要があるでしょう。
時にはACPCの理事会や総会で反対意見が出てくる提案もしなくてはいけないかもしれません。それでも長期的に見れば会員社にとって必ず利益につながると確信できるならば、調査研究だけは進めていく。理想を目指すのであれば、志を持つのであれば、そういう姿勢を見せなくてはいけないでしょうね。特にチケッティングの在り方などは、これから10年先、20年先でも通用するようなシステムを提案するつもりで臨むべきだと考えています。
簡単に実績が上がるような試みではないことは重々承知しています。「社会」を相手に活動していくラボの姿勢を認めていただき、理解していただくためにも、行動をし続けて、会員社の皆さんにもingの姿をお見せできればと思っています。