四国最大規模の野外フェス、モンスターバッシュも今年10年目の開催を迎えます。2002年から開催地を現在の香川県国営讃岐まんのう公園に移し、03年から「STAGE空海」「STAGE龍神」の2ステージを設置。自然に恵まれた環境の中、複数ステージのライヴを楽しむという意味では、全国でも屈指の「フェスらしいフェス」といえるでしょう。今年の開催は8月22〜23日の2日間。特に10周年を強調するわけでもなく、例年通りの安定感を保っているように感じられますが、モンスターバッシュにも「ターニングポイント」は訪れているのでしょうか。イベント全体を統括するプロデューサー、デューク・佐竹史郎さん(高松オフィス制作部)に伺いました。
会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。
フェス白書09 10年目のターニングポイント
モンスターバッシュ2009
安定した動員とチケットの初動
スタートから10年が経って、モンスターバッシュの四国エリアでの認知度はいかがですか。
佐竹:お陰さまで四国内での認知度は年々高くなってきていると思います。モンスターバッシュはデュークという会社を知っていただく最初のきっかけになっているんじゃないでしょうか。主催をお願いしている四国4県の放送局があるのですが、普段はこちらからプロモーションのお願いに伺うことが当然多いですよね。でも、モンスターバッシュについては「うちはこういう形でご協力できます」と逆提案をいただく場合もあるんです。そういった意味ではモンスターバッシュの存在によって、エリアにおける弊社の見え方が変わってきている面はあると思います。
ブッキングの基準はどんなところにあるのですか。
佐竹:ブッキングは社内会議で決定されるのですが、主な基準は3つあります。1つは四国出身のアーティストに出演してもらって、できるだけ彼らを応援したいということ。また、会社としてこれから長くお付き合いをさせていただきたいと思っているアーティストにも、ぜひ出ていただきたいと思っています。それと今後大きく成長していくであろうニューカマーも毎年必ずピックアップしていますね。この3つをバランスよく並べることが重要だと思っています。モンスターバッシュは、フジロック、ライジング、セットストックなど大型野外フェスといわれるものの中では一番会場が小さいのですが、限られたスペースの中でできる限りお客さんに楽しんでいただこうと思い、出演アーティスト数はなるべく増やしています。それによって関係者の方々にはかなりご無理をきいていただくことにはなってしまうのですが。
ここ数年の不況下で、動員には影響が出ていますか。
佐竹:昨年は3万2千人。一昨年が3万4千。これまでの9回開催で延べ21万人の動員ですので、こちらが想定した動員数は保っています。ただし、チケットの先行販売の初動をチェックしてみると、やはり不況の影響もあってか、チケット購入をやや慎重に考えるお客さんが出てきていると思いますね。
幅広い年齢層への対応
お客さん側の変化で、何か感じていることはありますか。
佐竹:ここ数年で来場者の年齢層が広くなってきましたね。昨年のチケット購入者のデータを調査すると、50代の方もいるなど確かにデータに表われてきています。毎年継続して来ていただいている方も年齢を重ねてきていますし、2世代で来場してくださった方もいるんじゃないでしょうか。それに応じて、若いアーティストだけではなく、キャリアの長いアーティストのブッキングも今まで以上に視野に入れるようにしています。
会場が広い野外フェスは、40代以上になると足が遠のきがちですが、モンスターバッシュはそうではないのでしょうか。
佐竹:2つあるステージの距離が近いところは、年齢が上の方にも観やすいといえると思いますね。首の向きさえ変えれば、2ステージが交互に楽しめる距離なんです。前方のスタンディングゾーンまでいかなくても、2ステージが目に入りますし、音も充分聴こえてきますし。他の大規模野外フェスですと、ステージ間の移動に時間をとられたりすると思いますが、モンスターバッシュはその点ラクに楽しんでいただけると思いますね。
今後、変えていきたいと思っているところはありますか。
佐竹:幅広い年齢層や、家族連れの方への対応を考えて、音楽以外の部分でも皆さんに楽しんでいただけるようなイベントにしたいですね。イベント自体のオリジナリティを保つためにも、会場に足を運んでいただくこと自体がアミューズメントになるようにすることが必要じゃないでしょうか。DJブースや、ゆったりとアコースティックな音楽を楽しんでいただけるエリアも作りたいですね。それと例えば地元名産のうどん作りを体験できるコーナーや、自然と親しめるスペースもいいですね。名産品の出店も増やしていきたいと思います。