前ページでお伝えした大阪厚生年金会館だけではなく、全国にある厚生年金会館のホール機能は今後、どのような処遇になるのでしょうか。現状を各エリアの会員社や会館の皆さんに、アンケートによってご報告いただきました。アンケートからはエリアにおける2000キャパのホールの重要性、そして存続に向けた熱い思いと存続運動の成果が見えてきました。
会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。
厚生年金会館存続問題
全国の厚生年金会館からの現状報告
札幌市が落札、12月より新体制での会館運営予定
Q.1担当エリアの厚生年金会館はどのような処遇になりましたか?
A.1北海道厚生年金会館は昨年11月13日(木)の入札において、建物を札幌市が、駐車場を札幌商工会議所が落札いたしました。本年12月より、会館持ち主が整理機構より札幌市へ移行されることにより、運営団体が最終的にどこになるかを今年度中に決定する予定です。今のところ、札幌商工会議所が運営団体として札幌市と協議中とのことです。どこが運営団体になったとしても遅滞なく使用可能であれば業務に支障がないと思っております。
Q.2担当エリアにあるホール施設の中で、厚生はどのような位置づけにありますか?
A.2■使用頻度:年間40〜50本の使用頻度で推移しています。■立地条件:市内中心部に近く、交通の便も良く利用しやすいと思います。■キャパシティ:2300名を収容できるホールは、道内では厚年のみなので他会場との代替がききません。札幌コンサートホールkitara大ホールも最大2008名収容できますが、ステージ後ろの席は使用しない(できない)ことも多いため、実際にはキャパ1700名程度で使用することが多く、また基本的にクラシック専用ホールなので、使用できるアーティストが限られます。ロック・演劇・バレエ等、オールマイティーに使用できません。市内の他の施設、札幌市教育文化会館や札幌市民ホールクラス(1000〜1500名)とアリーナクラス(5000〜6000名)をつなぐ大切なステップです。
Q.3整理合理化計画に対して行ったアクションがあれば教えてください
A.3会館存続に向けては、平成17年4月末の発表後、地元経済団体、札幌市議会、北海道議会の存続要請や、文化団体や利用者を中心に平成17年7月6日(金)「北海道厚生年金会館存続を願う会」を組織し、官民一体となり政府に存続要請を続け、国会(委員会)の売却条件付帯決議を勝ち取りました。以後存続へ向けた活動として、チャリティー活動シンポジウム、コンサート会場での募金活動やチャリティー公演、アーティストの皆さんのご協力をいただきチャリティー・オークション、その他善意の募金等の入札原資獲得活動を通じ\12,307,550を入札主団体である札幌市へ寄付し、見事に札幌市は\2,852,307,550で落札いたしました。
北陸電力が落札、10月中旬より新名称で業務開始予定
Q.1担当エリアの厚生年金会館はどのような処遇になりましたか?
A.1昨年の9月1日に「本年(昨年)9月中に入札を公示〜年内に売却先を決定」を発表。約1ヵ月後の10月初旬に北陸電力が「落札できればホールの機能を維持する」という主旨の元に入札参加を表明。結局、北陸電力以外に入札参加はなく同社が落札。石川厚生年金会館は今年8月末で一旦閉館〜引継ぎ手続きの後、10月中旬より新たな名前で業務を開始する予定。
Q.2担当エリアにあるホール施設の中で、厚生はどのような位置づけにありますか?
A.2金沢市には同程度の収容人員を持ったホールが他に二つ存在しますが、一つが完全な「クラシック・ホール」、一つは「2フロアの平坦な客席を持ったホール」、それに対して旧石川厚生年金会館は「1フロアですりばち状の客席」。演目内容によっては「厚生年金のホールじゃないと……」という声も多く聞かれました。
Q.3整理合理化計画に対して行ったアクションがあれば教えてください
A.3「入札〜売却」の新聞発表と同時に厚生年金会館ホールで開催される催事を中心に署名活動を開始。約2週間程の期間に約4000名の署名を集め、石川県知事に提出するとともに、厚生年金会館ホールの特性を説明、ホール機能の存続を要請いたしました。
現在までに正式な発表事項はなし
Q.1担当エリアの厚生年金会館はどのような処遇になりましたか?
A.1現在までで正式な発表事項はありません。
Q.2担当エリアにあるホール施設の中で、厚生はどのような位置づけにありますか?
A.2■キャパシティ:2062名■使用頻度:平成19年度89.6%(利用件数/営業日数365日)■使用条件:多目的■重要性:(大)2000名クラスのホールが少ないため。
Q.3整理合理化計画に対して行ったアクションがあれば教えてください
A.3地元自治会等により存続の署名活動が行なわれ、新宿区区議会が存続の要望を議決提出された。
熱心な存続活動も閉館、落札JVと現在ホール存続交渉中
Q.1担当エリアの厚生年金会館はどのような処遇になりましたか?
A.1厚生年金施設についての法案成立後、直ちに「愛知厚生年金会館の存続を願う会」が発足、名古屋市を訪問し、RFO(年金・健康保険福祉施設整理機構)回答について時間的猶予をもらうと同時に存続希望の意思を伝え、存続活動を開始しました。同会の活動については、以下の通りです。
名古屋市による5年間の支援策は、落札者がホールを存続した場合、5年間に限りホール部分の固定資産税相当額を補助するというものです。しかし、08年8月22日一般競争入札の結果、長谷工・積水のJV(共同企業体)に落札され、10月末をもって閉館されました。存続を願う会は、落札者にホール存続と賃貸によるホール活用を交渉しております。現在取り壊し作業には入っていません。
Q.2担当エリアにあるホール施設の中で、厚生はどのような位置づけにありますか?
A.2愛知厚生年金会館(1980年開業)は1666席、地下鉄東山線・池下駅徒歩3分と最高の立地条件にあり、またホール設備も非常にしっかり造られており、オールジャンルの催事に適しています。その結果、毎年300日を越える催事が行われており、1000人以上を収容するホールでは名古屋市内で、最高の利用率を誇っています。 また、同規模のホールとしては愛知勤労会館(1488席)があります。しかし、この愛知勤労会館は1970年の開業で、老朽化も進む中2010年3月末をもって閉館の予定でした。しかし、2008年12月名古屋市は愛知県から勤労会館の譲渡を受け入れ、現在は存続の道が開かれました。今後は耐震補強に対する予算化が行われますが、本年4月26日に行われます、市長選の結果に委ねることになります。
Q.3整理合理化計画に対して行ったアクションがあれば教えてください
A.3A1に同じ
市を主体としてホール存続を予定、10月以降に新体制発表
Q.1担当エリアの厚生年金会館はどのような処遇になりましたか?
A.13月26日の広島市議会で、市を主体にしたホールの存続が正式に決定する予定。運営体制やホール名に関しては10月ぐらいに決まる予定。2009年4月〜2010年3月いっぱいの間で、2010年4月以降の予約を広島厚生年金会館として受け付け、その後は新しい管理者のもとで行なわれます。
Q.2担当エリアにあるホール施設の中で、厚生はどのような位置づけにありますか?
A.22000席を配するホールは、広島市にはここしかなく、他市内にはALSOKホール(1750)、アステールプラザ大ホール(1200)、国際会議場(1500)と、3つの同様のホールがありますが、市の中心部にあるということ、ホテルや移動の利便性を考えた場合、最適なホールだと思われます(楽屋数、レストラン設備、駐車場等、どれをとっても使いやすいです)。
Q.3整理合理化計画に対して行ったアクションがあれば教えてください
A.3ホールの存続が危ぶまれた時は会場での署名活動等を行ないましたし、各テレビ局、ラジオ局からも、ホールについての情報は常に発信をしていただきました。会場での署名活動は、他社のプロモーターの皆さんも、熱心に行なわれていたようです。
北九州市の施設として存続決定、来年4月以降に新施設に
Q.1担当エリアの厚生年金会館はどのような処遇になりましたか?
A.1北九州市の施設となることが正式に決定。2010年4月1日より新施設としてスタートします。運営方法は現在未定。
Q.2担当エリアにあるホール施設の中で、厚生はどのような位置づけにありますか?
A.2政令指定都市である北九州市において、唯一のキャパシティ2200の大ホール。特にそのキャパシティにおいて代わりのホールがない。100万都市である北九州市で、2000人規模の種々の催事に於いて絶対必要不可欠な会場であります。
Q.3整理合理化計画に対して行ったアクションがあれば教えてください
A.3政令指定都市である北九州市において、この会場がなくなれば、2000人規模のホールがなくなるという状態であったことでもあり、青年会議所や文化団体の署名活動が行なわれ、北九州市も市の発展のため必要だと判断し購入を決めました。
ACPCの存続支援活動
●年金福祉施設見直しの一環として厚生年金会館の売却・廃止の措置が決定された2005年、永田友純ACPC会長(当時)と社団法人3社(日本芸能実演家団体協議会、日本音楽事業者協会、音楽制作者連盟)の各会長/理事長の連名で、厚生労働大臣(当時)の川崎二郎氏へ「厚生年金会館のホール機能の存続を求める要望書」を提出。また、永田友純ACPC会長(当時)と社団法人日本芸能実演家団体協議会の野村萬会長との連名で、厚生労働副大臣(当時)の赤松正雄氏へ「厚生年金会館のホール機能存続のための要請」を提出しました。
●「北海道厚生年金会館存続を願う会」とともに、社会保険庁を訪問。同会がチャリティー活動シンポジウムを行なった際には、作曲家の都倉俊一氏に講演をしていただきました。
●社団法人音楽制作者連盟等へ存続支援活動の説明を行なうなど、他団体への働きかけを行いました。また、各地の活動団体の活動状況や会館の動向等の情報をFAXやメールで逐一入手、事務局でストックしました。全国の会員が集まる幹部会や理事会にて存続支援活動を議題とすることで、各地の状況や理念を共有し、情報交換の場としても機能しました。