会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。
平成29年度 ACPC人材育成研修会開催報告
セミナー1 ライブ・エンタテインメント産業の課題〜ローカルプロモーションの現在
冒頭で中西会長と野村理事から、チケットの高額転売問題をきっかけにして、ACPCと音制連がかつてないほど深いコミュニケーションをとるようになり、今回の合同開催につながったとの説明があり、以降、両者の密な関係を反映させてか「社交辞令」ではなく「現場の本音」が飛び交う展開になりました。
議論のポイントになったのは「全国のプロモーターとアーティストプロモーション」。中西会長からの「以前はレコード会社のブランチが担っていた、各地域でのプロモーションをプロモーターが肩代わりしている現状があり、負担にもなっている。今後は音源だけでなく、アーティスト自身をどうプロモーションしていくかを考えるべきではないか」との問題提起に、野村常務理事が「CDの地方キャンペーンは少なくなってきて、テレビもラジオもローカルメディアは以前ほどの影響力はなくなってきている。イベントを通したプロモーションなど、新たな地方キャンペーンの方法を各地のプロモーターの方々と模索していきたい」と反応。続いて近藤理事は、近年スペースシャワーの業務がイベント開催やアーティストマネージメント、レーベル運営に広がっていることを説明しながら「今はアーティストの個性に合わせたプロモーションを組み立てることが大事。アーティストを中心に据えたローカルプロモーションを実現させるために、テレビやラジオだけではなく、ミニコミやSNSを含めてプロモーターの皆さんに地元メディアを束ねてもらいたい」と要望を述べました。
さらに中西会長から「ここにいる全国プロモーターの若いスタッフは、アーティストが売れるまではなんでも地方頼りで、売れたら東京で全部チケットがコントロールされてしまうので、モチベーションが落ちると本音では思っていますよ」と鋭い突っ込みが。野村理事は「僕は必ず地方のプロモーターの皆さんに恩返ししたいと思っていますよ」と苦笑しつつ、「コンサートビジネスはキャパシティに限界があって、ブレイク後はファンクラブを中心とした東京での配券で終わってしまうことが多いのは事実です。ただし、アーティストの未来を考えると、既存のファンだけに向けてライブをやっていればいいわけでは絶対ないと思っています」とプロモーター側の本音を受け止めてくださいました。
近藤理事からは「若い世代のプロモーターならではのネットワークを、ぜひつくってほしい。スペースシャワーTVの番組編成スタッフと地方のプロモーターの方々が直接つながるようなことも充分あり得ると思います」と新世代へのエールが送られました。