会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。

セミナー1 ライブ・エンタテインメント産業の課題〜ローカルプロモーションの現在

(写真左から)近藤正司 :一般社団法人日本音楽制作者連盟理事/株式会社スペースシャワーネットワーク代表取締役社長
野村達矢:一般社団法人日本音楽制作者連盟常務理事/株式会社ヒップランドミュージックコーポレーション代表取締役専務執行役員
中西健夫:一般社団法人コンサートプロモーターズ協会会長/株式会社ディスクガレージホールディングス グループ代表

冒頭で中西会長と野村理事から、チケットの高額転売問題をきっかけにして、ACPCと音制連がかつてないほど深いコミュニケーションをとるようになり、今回の合同開催につながったとの説明があり、以降、両者の密な関係を反映させてか「社交辞令」ではなく「現場の本音」が飛び交う展開になりました。

議論のポイントになったのは「全国のプロモーターとアーティストプロモーション」。中西会長からの「以前はレコード会社のブランチが担っていた、各地域でのプロモーションをプロモーターが肩代わりしている現状があり、負担にもなっている。今後は音源だけでなく、アーティスト自身をどうプロモーションしていくかを考えるべきではないか」との問題提起に、野村常務理事が「CDの地方キャンペーンは少なくなってきて、テレビもラジオもローカルメディアは以前ほどの影響力はなくなってきている。イベントを通したプロモーションなど、新たな地方キャンペーンの方法を各地のプロモーターの方々と模索していきたい」と反応。続いて近藤理事は、近年スペースシャワーの業務がイベント開催やアーティストマネージメント、レーベル運営に広がっていることを説明しながら「今はアーティストの個性に合わせたプロモーションを組み立てることが大事。アーティストを中心に据えたローカルプロモーションを実現させるために、テレビやラジオだけではなく、ミニコミやSNSを含めてプロモーターの皆さんに地元メディアを束ねてもらいたい」と要望を述べました。
さらに中西会長から「ここにいる全国プロモーターの若いスタッフは、アーティストが売れるまではなんでも地方頼りで、売れたら東京で全部チケットがコントロールされてしまうので、モチベーションが落ちると本音では思っていますよ」と鋭い突っ込みが。野村理事は「僕は必ず地方のプロモーターの皆さんに恩返ししたいと思っていますよ」と苦笑しつつ、「コンサートビジネスはキャパシティに限界があって、ブレイク後はファンクラブを中心とした東京での配券で終わってしまうことが多いのは事実です。ただし、アーティストの未来を考えると、既存のファンだけに向けてライブをやっていればいいわけでは絶対ないと思っています」とプロモーター側の本音を受け止めてくださいました。
近藤理事からは「若い世代のプロモーターならではのネットワークを、ぜひつくってほしい。スペースシャワーTVの番組編成スタッフと地方のプロモーターの方々が直接つながるようなことも充分あり得ると思います」と新世代へのエールが送られました。


関連記事

[SUMMER.2019 VOL.42] 平成31年度 ACPC人材育成研修会開催報告

[WINTER.2019 VOL.40] 平成30年度 ACPC人材育成研修会開催報告

[WINTER.2017 VOL.32] 平成28年度 ACPC人材育成研修会開催報告

[SPRING.2013 VOL.18] 平成24年度ACPC人材育成研修会報告

[SPRING.2012 VOL.14] 平成23年度ACPC人材育成研修会

[SUMMER.2011 VOL.11] 2010年度ACPC人材育成研修会

[AUTUMN.2010 VOL.8] 平成22年度ACPC人材育成セミナー開催

[SUMMER.2010 VOL.7] 平成21年度ACPC人材育成研修会

[SUMMER.2009 VOL.3] 平成20年度 人材育成研修会

同じカテゴリーの記事

[SUMMER.2019 VOL.42] 平成31年度 ACPC人材育成研修会開催報告

[WINTER.2017 VOL.32] 平成28年度 ACPC人材育成研修会開催報告

[AUTUMN.2013 VOL.20] ACPC設立25周年記念事業セミナー 開催

[SPRING.2013 VOL.18] 平成24年度ACPC人材育成研修会報告

[SPRING.2013 VOL.17] 東京工科大学メディア学部の学生がコンサート制作の現場実習

[SPRING.2012 VOL.14] 平成23年度ACPC人材育成研修会

[SUMMER.2011 VOL.11] 2010年度ACPC人材育成研修会

[SPRING.2011 VOL.10] 東京工科大学ACPC寄附講座

[SUMMER.2010 VOL.7] 平成21年度ACPC人材育成研修会

[SPRING.2010 VOL.6] 進化した3年目 ACPC寄附講座

もっと見る▶