システムと法規制
―お客さんの反応、主催者側の手応えは?
若林:スマホ・チケットの導入で大きなトラブルが起きたわけでもありませんし、基本的には好評でした。入場時にフリックでチケットを認証してから駐車場に入ってもらうのですが、そ
の後は出入り自由になってしまう点は、主催者側としてやや問題を感じました。もちろん、ビザバンドやチケットを目視して出入りの制限をするやり方も完璧ではないので、時代に対応した方法でトライしていくしかないと思います。東京オリンピック・パラリンピックを前にして、テロ対策なども強化されていくでしょうし、今後は行政の指導も入ってくる可能性もありますので、さらに検討していく必要があると思っています。
―さらなる対策を講じるとすると、どんなことでしょうか。
若林: 海外のフェスに行くと、色々な入場システムがありますよね。お客さんそれぞれがIDアカウントをつくって、ビザバンドに埋め込まれたICチップなどに認証データをすべて入れるのが最新のシステムじゃないでしょうか。そのデータに駐車券を加えて、未成年かどうかのチェックも入れて、会場内でお客さんがどういう導線で行動したのかもすべて把握できるわけですから、主催者側にとってもメリットが大きい。ただし、そのシステムを導入するには、入場前にバーコードの決済を受けるレジストレーション・スペースをつくらなくてはいけないわけで、日本ではまだ実現は遠いと思います。3万人を1カ所でレジストレーションするのか、会場以外にも複数場所をつくって、事前に受付を済ませてから来てもらうのか、考えるべき点は多いと思いますね。
会場内駐車券は、駅に近い物件の値段が高い不動産のようなもので、やはりメインステージに近い場所に人気が集まるんです。だからお客さんのニーズに合わせて、細かく金額設定を変えてもいいのかなと。その上で高額転売を法規制してもらうのが、最もフェアな形かなと思っています。