刻まれた金沢音楽史
1976年設立のエフ・オー・ビー企画より、金沢にはさらに長い歴史を持った音楽の牙城があります。「金沢のライブハウスといえば?」と問われれば多くのミュージシャンがその名を挙げ、一度はここで演奏してみたいと願う場所。居心地の良い空気が流れる「もっきりや」で、店主の平賀正樹さんにお話を伺いました。
平賀:店を始めたのは71年。後にエフ・オー・ビーを設立するメンバーは当時、コンサートを企画する大学生のグループでした。こっちはこっちで店をやっているから、お互いに「あんな軟弱なライブをやって…」と言い合いして、飲み屋で会うといつもケンカですよ。後で仲良くなったけどね(笑)。
初期の頃はジャズや浅川マキのレコードをかけたり、ライブでよく来ていたのは高田渡やザ・ディランII。最近では渡の息子の漣くんが、いい演奏をしてくれました。ベテランだけではなく、若いミュージシャンも出演しています。エフ・オー・ビーが持ってきてくれた吉澤嘉代子なんて僕は大好き。
中澤:うちがブッキングに関わっても、大事なのは平賀さんの判断。かなり厳しいので、まず音を聴いていただくことから入って……。
平賀:いやいや、最近はずいぶん丸くなりましたよ(笑)。
「もっきりや」には今も、70年代と変わらない「店主とプロモーターの会話」がありました。