会報誌 ACPC naviライブ産業の動向と団体の活動をお伝えします。
今号の加盟社 北陸・甲信越:(株)キョードー北陸
全国に広がるACPC加盟社は、地元エリアの地域性、これまで歩んできた道程によって、各社のカラーがさまざまに分かれています。本連載では毎号、ACPC正会員社が持つオリジナルのプロモート術、会社を支えるスピリット、そして時には多忙な日々を乗り越えるための「遊び」まで、各社の「独特ポイント」をご紹介していきます。
- (株)キョードー北陸
- 〒950-0917 新潟県新潟市中央区天神1-12-8 レクスンB 7F
TEL 025-240-2633 FAX 025-240-2636 URL http://www.kyodo-hokuriku.co.jp/ 代表者 代表取締役 後藤新治 設立 1976年7月26日 業務エリア 新潟・長野・石川・富山・福井・山梨 主な自主企画公演 音楽と髭達、Niigata Rainbow ROCK Market、新潟虹色寄席
「初売り」「会場売り」で着実に成果 独自のチケット販売術の秘密とは?
「人と人」の販売力
ACPC加盟社の事業ツールの中で、近年最も進化したのはチケッティング関連のものでしょう。インターネットの定着により、チケット販売の利便性は飛躍的に高まりました。今号でご紹介するキョードー北陸は、そんな時代に逆行するかのように、ユーザーと対面してチケットを販売することにこだわってきた会社です。お正月には元旦から社員総出でチケットを「初売り」。日々コンサートや舞台公演が行われている会場でも、その公演の観客層に合わせたチケットを各種取り揃えて「会場売り」。着実に成果を挙げているという同社のチケット販売は、なぜ北陸・甲信越エリアのユーザーに浸透したのでしょうか。チケットデスク部の松田宏美さんに伺いました。
松田:弊社社長の後藤の発案で「初売り」を始めたのは、2007年のお正月からです。後藤に「元旦に街に出てチケットを売ろう」といわれて、社員は誰も反対しませんでした。全員「面白いですね。やりましょう!」という感じで、ハッピを着るアイディアを出したり、ごく自然に全員が参加していましたね。最初の年は、本当に新潟の「軒先」からのスタートでした。デパートの前なので人通りはある場所なんですが、やっぱり寒かったです(笑)。それでも100枚弱は売れましたので、手応えはありました。その後、新聞の折り込み広告でチラシをまいたり、FM-NIIGATAで『スーパーちゃぶ台』という初売りをアピールする番組を始めたこともあって年々浸透していき、ショッピングモールとタイアップして大型店舗内で販売するようになった頃には、300メートルくらいのお客様の列ができ、販売数も2000~3000枚に達するようになりました。現在は新潟だけではなく、長野や松本、富山などでも行っています。エリアで担当を分けてチームをつくるのですが、「あそこよりも絶対売ってみせる」という競争心がでてきますね(笑)。お互いにメールで情報交換をして、販売につながったセールストークを他の場所でもやってみたり、チラシで告知していなかったアーティストのチケットも追加で販売してみたり、相乗効果も、もちろんあります。
これは会場での販売も同じですが、お客様と対面でチケットを販売する利点は、コミュニケーションをとりながらセールスができることです。一番喜ばれるのは、席を選びながらチケットが買えることなんですが、だいたい「残っている席の中では、どこが見やすい?」と聞かれて、「ここです!」と迷わず伝えると、ほとんどの場合は購入につながります。それと、もともとお目当てのアーティストや舞台がないお客様でも、会話をしているうちに、「ああ、それなら観てみたい」となって買っていただけるんです。例えば、お母さんが自分の好きなアーティストのチケットを買いに並んでいるうちに、その場で流していた『プリキュア』の映像に夢中になっている子供のためにイベントのチケットを買ってくださるとか。だから結局、まとめ買いしてくださるお客様も多くなるんです。